ソフトバンクモバイルと西菱電機、クラリオンはこのほど、カーナビゲーションシステムとIP無線機を一体化した業務車両向け車載端末「UA-1137A」を発表した。3社によると、カーナビとIP無線機を一体化したIP無線サービスは業界初だという。

提供するサービスは、クラリオンの業務車両向け車載端末SOLID AD-1シリーズ「UA-1137A」にUSBスティック型データ通信端末とPTT(プッシュ・トゥー・トーク)のマイクを接続することで実現。ソフトバンクが提供する「SoftBank 201SJ」や「SoftBank 301SJ」などのIP無線機との相互呼び出しや音声通話(単方向)も可能だ。

USBスティック型データ通信端末と接続している

IP無線サービスの利用には別途契約が必要なものの、従来の業務用無線のような無線免許申請や無線資格従事者による基地局設置工事が不要になるため、コスト削減に繋がるとしている。価格はオープンで、端末の導入台数の規模によって個別見積もりとなる。

301SJとの通話も可能

なお、Solid-ADは、Androidベースの車載端末であるため、カスタマイズが容易だ。今回も、SI向けにクラリオンが用意しているSDKを活用してIP無線システムの融合を果たした。USBスティック型データ通信端末+PTTマイクをカーナビと繋いだだけの簡便な機器構成で「効率の良い配車システム構築に繋がる」(クラリオン 常務取締役 大町 秀雄氏)。

SDKを活用した事例としては、配送業務支援や安全運転解析サービスなどもあり、無線機にとどまらず、ハードウェアと共に固定化されていた業務車両に必要とされる機能に柔軟に対応できるようになる。なお、これらのソフトウェアは、SDカード経由でドライバーに提供される。

今回の発表では、W-CDMA(3G)の900MHz/2.1GHz帯の対応にとどまっているが、今後のLTE化については「将来的には当然そうなると思う。LTEになっても、伝送路がLTEになるだけで、IP無線としての機能は変わらない」としており、将来的にスムーズな置き換えも十分可能といえそうだ。