ヴイエムウェアは4月23日、エンドユーザーコンピューティング分野において、ユーザー環境の管理製品「VMware User Environment Manager」(以下、VMware UEM)、Citrix XenApp/Citrix XenDesktop環境の管理製品の提供開始を発表した。

仮想/物理/クラウドの環境で、パーソナライゼーションを実現

VMware UEMは、米VMwareが今年2月に買収した蘭Immidioのプラットフォームを活用した製品。蘭Immidioの買収に合わせて、アプリケーション配信やユーザー管理のための新たな取り組みとして、「VMware Workspace Environment Management」と呼ぶ概念を発表している。

今回の新製品は、この概念に基づいた形で、Immidioが提供していた製品を、VMwareの製品群に組み込んだもので、VMware UEMにより、パーソナライゼーションを前提としたIT設定や、ユーザーによるカスタマイズ、ユーザーのプロファイル管理の簡素化などを実現する。

ヴイエムウェア マーケティング本部 シニアプロダクトマーケティングマネージャ 本田豊氏

マーケティング本部シニアプロダクトマーケティングマネージャの本田豊氏は、「複数のデバイス、複数の場所から利用するといったシーンが増加するなか、IT管理者には複雑化する管理をシンプルにしたいという要望がある。VMware UEMにより、動的なIT設定においても、シンプルな設定が可能になる。また、VMware UEMは、これまでに数万ユーザーレベルの導入実績を持つなど、拡張性を持っている点も特徴であり、同時にエンド・ツー・エンドの監視も可能」と説明した。

「VMware User Environment Manager」の概要

「VMware User Environment Manager」で設定作業を行っている画面

VMware UEMは、単体ソリューションとしての提供に加え、VMware Horizon Application Management Bundleと、VMware Horizon 6 Enterpriseの機能の一部としての提供も行う。VMware UEMの市場想定価格は1ユーザーライセンスが3200円、VMware Horizon Application Management Bundleは1万3000円から(いずれも税抜き)。

Citrix 環境のアプリケーションの配信・管理を実現

また、VMware Horizon Application Managementバンドルに、シトリックスの「Citrix Xen App」「Citrix Xen Desktop」環境においても、アプリケーション管理が行えるようになった。

VMware Horizon Application Managementバンドルは、Xen AppとXen Desktopをすでに導入している環境において、アプリケーション配信と管理の最適化を実現し、既存投資の総所有コストの向上が可能になるという。本田氏は、「Citrix 製品のユーザーは、仮想化環境については満足していてても、ユーザーのアプリの配信や管理を最適化したいという要望を持っているだろう。VMware Horizon Application Managementバンドルは、こうしたニーズにこたえるものであり、コスト改善、効率化、シンプル化を実現したいユーザーに対するソリューションになる。Citrix 製品から当社の製品への移行は妨げないが、移行を促進するものではない」と語った。

VMware Horizon Application Managementバンドルでは、Citrix環境でのトラブルシューティングの簡素化と、ダウンタイムの削減を目的としたVMware vRealize for Published Applicationsを提供。アプリケーション、セッション、ユーザー、インフラを含む主要なパフォーマンス指標を取得できるため、障害からの復旧をサポートするとともに、サポートに関するコストを削減できる。

さらに、アプリケーションをエンドユーザーとデスクトップにリアルタイムで配信できる「VMware App Volumes」、シンプルなアプリケーションの仮想化、アプリケーション配信に関するコストや複雑性を低減する「VMware ThinApp」、Windowsやオンラインリソースに簡単にアクセスすることができるエンタープライズクラスの統合ワークスペースと位置づける「Workspace Portal」も提供される。

「VMware Horizon Application Managementバンドル」の概要

ユーザーのニーズにこたえ、VMware HorizonでLinuxに対応

一方、VMware Horizon 6では、VDIのゲストOSとしてLinuxに対応することも発表された。2015年第2四半期後半に、「VMware Horizon 6 for Linux」として正式に提供を開始するという。

「VMware Horizon 6 for Linux」の概要

本田氏は、「Linuxへの対応は数年前から強い要望があった。日本以上に、中国市場から多くの要求が出ていた。Ubuntu、Redhat Enterprise Linux、Cent OSといったメジャーなLinuxに対応する予定。これにより、仮想デスクトップのメリットをLinuxにも拡大できるほか、Windowsのデスクトップ・ライセンスが不要になり、コスト削減にもつなげることができる。さらに、3DアプリやLinux用オフィスアプリにも対応することが可能になる」と述べた。

同時接続ユーザー当たりの市場想定価格は1万6000円からで、VMware Horizon 6 Enterpriseの一部としても提供されることになる。VMware Horizon 6 for Linuxは現在、早期導入プログラムが行われており、全世界で400社の顧客やパートナーが参加しているという。

さらに、VMware RDSH(Remote Desktop Session Host)アプリケーション(の機能強化により、多くのユースケースへの対応が可能になることが発表された。

「2014年第2四半期に、ホスト型アプリおよびRDSデスクトップへの対応を皮切りに、プリンタや各種イメージングデバイス、USBストレージデバイスなどへの対応を行ってきた。2015年第2四半期には、HTML5やChromebook、クライアントドライブ、マルチメディア/ストリーミングビデオにも対応する。HTML5は、これまでも仮想デスクトップにはアクセスできてはいたが、公開アプリケーションにもアクセス可能になる。また、Chromebookからも仮想デスクトップおよび公開アプリケーションにアクセスできる」とした。

さらに本田氏は、同社が掲げている「Business Mobility」についても説明。「Business Mobilityで目指しているのは、デバイスや、仕事をする場所を問わず、エンドユーザーが業務に必要とする環境を提供するとともに、新たなビジネスプロセスへも対応。そして、IT管理の簡素化やセキュリティコンプライアンスの維持も実現することができる点にある」という。

Business Mobilityを実現する具体的な製品として、VMware Workspace Suiteが提供される。これは、Horizon、AirWatchモバイル、Content Lockerという3つの製品で構成される。Horizonでは、昨年4月に発表したHorizon 6、欧米で提供を開始しているDaaSのHorizon Air、昨年末に発表した、コンテナ化したデスクトップ環境を提供するHorizon FLEXをラインアップしている。最新のHorizon 6.1は、NVIDIA GRID VGPUによる高性能グラフィックスへの対応、幅広いストレージオプションに対応するといった特徴がある」などと語った。

Business Mobilityを実現する「VMware Workspace Suite」