オートデスクは4月23日、米イリノイ大学と共同でUAV(無人航空機)を用いて工事現場を撮影し、その画像から精度の高いBIM/CIMモデルを作成することで、現況の把握と施工の進捗管理を効率的に行うことができる手法を開発したと発表した。また、大成建設が同手法の実証実験を実際の建設現場で実施し、施工進捗管理業務の品質および生産の向上に成功したことも明かした。
これまで、土木工事の進捗管理は専門の業者が3Dスキャナなどで地面を定期的に観測して、その変化を計算・記録して行ってきた。広範囲な工事現場を数日かけて測量する必要があるため、時間とコストがかかってしまう。
これに対し、今回開発された手法では、UAVで取得した画像を選別してアップロードすると、数時間後に自動で点群データが作成される。その後、「Autodesk Civil 3D」で写り込んだ重機などのノイズを取り除いた後、サーフェスモデルを作成する。一連の作業は、点群データを作成する数時間を除けば、120分で済むという。
大成建設が高知県安芸郡の和食ダムで行った実験では、作成したCIMモデルから盛り土/切り土量などを自動的に計算し、現況の形状や土量の変化から進捗を自動的に算出することで、以後の工事予定を確認した。その結果、これまでデータの取得に1週間かかっていたのが、最短で半日に短縮したほか、従来は複数人必要だったオペレーターも最小1名で対応可能となった。精度の面では、画像から得られた位置データの最大誤差は±10cmで、これはボリューム算出には十分な精度とのこと。
進捗管理の品質という面では、現況の計測回数を増やし進捗把握の情報が増えたことで、工事計画の確認と変更の検討が行い易くなったほか、現況データや進捗管理データを「Autodesk Civil 3D」や「Autodesk InfraWorks」に取り込みビジュアルで工事計画の検討をしたことでコミュニケーションの質が向上するなどの効果を発揮した。
同手法は工事現場以外にも、構造物の点検や、災害時の被災状況の把握などにも応用が可能と考えらている。今後は、UAVを大型化することで、カメラ以外の計測機器も搭載することや、安全面がクリアできれば自動操縦でUAVを飛行させることも検討していくという。