東日本電信電話株式会社(以下、NTT東日本)は23日、今年10月に施行される「マイナンバー制度」における民間企業を対象とした調査結果を発表した。社員20人未満の企業の8割が「何も進めていない」、4割強が対応しようとしているが「方法がわからない」など、施行まで半年を切った段階で対応が進んでいない状況が露呈する結果となった。

同社では、営業エリア全県でのマイナンバー制度対策セミナーの開催、全支店でのサポート、マイナンバー制度対応のセキュリティ対策サービス「フレッツ・あずけ~るPROプラン」などマイナンバー対策を逸早く展開している。

調査は、今年10月に施行し、来年1月から運用開始となる「マイナンバー制度」に対する民間企業の準備状況を確認するために行われた。2015年4月10日から4月12日の期間に、インターネットを使い正社員、会社役員・経営者を対象に874名からの回答結果を得ている。

マイナンバー制度の運用開始後に必要となる手続きについて知っている項目を選ばせる設問では、「健康保険加入」(68.3%)、「厚生年金加入」(63.8%)が高く、「源泉徴収」(51.6%)、「確定申告などの税の手続き」(47.7%)、「給与支払い」(43.3%)と続く。マイナンバー制度への対応が必要な従業員数を問う設問では、正解である「1人以上」を回答できたのは全体の50.0%。また、企業の社員数別の比較を行うと、社員数が多いほど誤った認識を持つ傾向にあり、社員数100人以上の6割近くが誤った認識をしている結果となった。

2015年10月施行、2016年1月運用と半年を切るマイナンバー制度に対する会社の準備期間、対応姿勢などの具体的な項目も設定してある。「マイナンバー制度施行に向けて、会社はいつごろまで準備を完了するべきだと思いますか?」という問いには、「施行の半年前」が一番多く24.8%、「施行の3ヶ月前」が19.8%。18.5%が「わからない」という結果に。

「あなたの会社ではマイナンバー制度の施行に向けた準備はどの程度進んでいますか?(いると思いますか?)」には、「何も進めていない」が43.6%、「準備を進めている段階」が19.0%、「既に完了している」が3.7%となり、全体の7割が準備を始めていない。社員数別の結果では、社員数が少ないほど準備かできておらず、社員数20人未満では約8割にあたる75.4%が「何も進めていない」と回答している。

マイナンバー制度へのあなたの会社の対応姿勢として該当するものを選ばせる質問では、「必要な範囲で対策を行うべき」(37.9%)、「必要最低限の対策を行うべき」(28.1%)と約7割が必要な範囲内で対応したいという姿勢がうかがえる。検討している管理方法については、「マイナンバー対応ソフト(業務用)」が28.1%と最も多く、「マイナンバー対応ソフト(市販用)」(17.0%)と続くが、42.1%が「わからない」と回答、対応期間が日々短くなっていくなか、具体的な方法が見えていない状況がある。

そのほか、あなたの会社でマイナンバー制度に対応する課題はどんなことだと思いますか?という設問では、「個人情報保護、セキュリティ対策の強化」が41.6%、「マイナンバーデータを回収すること」(30.8%)、「マイナンバー対策への費用捻出」(30.5%)という結果。マイナンバー対策をどのような組織体制で行っているかの三択で選ばせる設問では、「社員のみで対応する」が52.4%、「社員と外部パートナーで対応する」が43.0%、「外部パートナーに完全委託する」が4.5%となる。社員数別では、100人以下の中小企業では、社員のみでの対応が如実に高くなっている。

また、「あなたの会社の現在の個人情報保護や情報セキュリティへの対策状況はどの程度のレベルだと思いますか?」という問いに対して5段階での自己評価を求めるものには、「一般的な水準で対策ができていると思う」が43.5%と最も高い結果となっている。

マイナンバー制度では、個人情報保護の観点から罰則強化が行われ、企業自体が責任を問われるケースも考えられる。施行まで半年を切る現在、いま一度、社内のセキュリティや個人情報保護の徹底が求められる。