オートデスクは4月21日、建築・土木インフラ業界向けBIM/CIMアプリケーションの最新バージョンを4月23日に発売すると発表した。
意匠設計から構造・設備設計までをカバー「Autodesk Revit」
BIMアプリケーションの「Autodesk Revit 2016」では、重なりあったモデル線分を維持してCAD形式で書き出す機能が追加されたほか、レンダリングエンジンを「NVIDIA Mental ray」(ローカルPCで稼働)と「Autodesk Raytrace」(リアルタイムレンダリング)から選択可能となった。日本のユーザーのリクエストも取り入れられており、構造解析に必要なパラメーターを構造部材ファミリに追加できるようになったり、背筋部材の丸め機能の向上などの改善が図られている。また、「Autodesk Revit」で提供するBIM機能のうち、3D詳細設計と図面作製、設計図書の作成機能に特化した「Autodesk Revit LT 2016」も合わせてリリースされる。
名称 | 希望小売価格(税別) |
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Autodesk Revit Architecture 2016 (建築設計向けBIMアプリケーション) | ・永久ライセンス: 80万5000円 ・Maintenance Subscription:12万1000円(永久ライセンスに付帯できる保守契約サービス) |
Autodesk Revit Structure 2016 (構造設計向けBIMアプリケーション) | ・永久ライセンス: 80万5000円 ・Maintenance Subscription:12万1000円 |
Autodesk Revit MEP 2016 (設備設計向けBIMアプリケーション) | ・永久ライセンス: 80万5000円 ・Maintenance Subscription:12万1000円 |
主な新機能 (A=Architectureに搭載、S=Structureに搭載、M=MEPに搭載) ・重なり合ったモデル線分を維持してCAD形式で書き出す機能を新規に搭載(A) ・レンダリングエンジンを「NVIDIA Mental ray」(ローカルPCで稼働)と「Autodesk Raytrace」(リアルタイムレンダリング)から選択可能に(A) ・構造解析に必要なパラメータを構造部材ファミリに追加可能(S) ・配筋部材の丸め機能を向上させ、丸め方法の選択と丸め寸法の指定が可能に(S) ・製造系CAD(CAM)向けファミリを提供開始。工作機械での製造を考慮した詳細な情報を保持可能(M) |
名称 | 希望小売価格(税別) |
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Autodesk Revit LT 2016 (Autodesk Revitで提供する包括的なBIM機能のうち、3D詳細設計と図面作製、設計図書の作成機能に特化した簡易版Revit) | ・永久ライセンス: 19万円 ・Maintenance Subscription:2万7000円 |
次に、プロジェクトマネジメントツール「Autodesk Navisworks 2016」では、Graphisoft ArchiCAD 17、18もファイルエクスポーターで対応可能となり、Rhino 3dm(バージョン5まで)とAdobe PDF(2Dのみ)の読み込みが可能となった。加えて、「Autodesk AutoCAD 2016」上でNavisworksモデルを参照できるため、新規設計時や干渉箇所の修正時に他のモデルを参考にしながらの作業が実現する。
名称 | 希望小売価格(税別) |
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Autodesk Navisworks Simulate 2016 (さまざまな形式の3D設計データを統合し、5D施工シミュレーション、レンダリングが可能なプロジェクトレビュー アプリケーション) | ・Desktop Subscription: 11万8000円(1年契約、ベーシックサポート付の場合) ・永久ライセンス: 29万5000円 ・Maintenance Subscription: 4万4000円 |
Autodesk Navisworks Manage 2016 (Simulateに加えて干渉チェックも可能なアプリケーション) | ・Desktop Subscription: 35万円(1年契約、ベーシックサポート付の場合) ・永久ライセンス: 87万5000円 ・Maintenance Subscription: 13万1000円 |
主な新機能 ・2016バージョンへの対応に加えて、下記の他社アプリケーションとのデータ連携も追加 - Graphisoft ArchiCAD 17、18へはファイルエクスポータで対応 - Rhino 3dmファイル読み込み(バージョン5まで) - Adobe(R) PDF(R) ファイル読み込み(2Dのみ) ・Autodesk AutoCAD 2016 上でNavisworksモデルの参照ができるようになり、新規設計時や干渉箇所の修正時に他のモデルを参考にしながらの作業が可能に ・ユーザからの要望により、朱書きの追加時に自動でビューポイントを作成して、作業を効率化 ・数量拾い機能を改善 - 数量拾い項目に関連付けられたマークアップを含めて2Dシートを印刷可能に - 数量拾いオブジェクト表現の線の太さを調整可能に |
意匠設計から構造・設備設計までをカバーするソリューションとなった「Autodesk Revit」だが、アメリカで開発されているということもあり、性能評価がアメリカ基準となっている部分がある。これに対し、同社は日本の基準に準ずるための取り組みを進めており、アドオンアプリケーションなどをリリースすることで対応していく予定だという。
地図からモデルを自動作成 - プレビュー公開の機能も
都市開発向けの「Autodesk Infraworks 360」では、前リリース時にプレビュー搭載されていた、「Model Builder」機能が正式に搭載された。これは地図の任意の部分から3Dモデルを自動で作成する機能。モデルの精度はそこまで高くはないが、外部データを合成するなど、現況地形モデルのベースとすることが可能だ。
また今回のリリースでは「桁橋の構造解析」機能と「交通シミュレーション」機能がプレビュー搭載された。「桁橋の構造解析」機能では、橋梁の構造を簡単に解析することができる。計算基準がまだ欧米基準だが、設計検討程度には活用できるという。一方の「交通シミュレーション」機能は、渋滞量を予測する簡易シミュレーションツールとなっている。
名称 | 希望小売価格(税別) |
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Autodesk InfraWorks 360 (都市開発や土木・インフラプロジェクト向けCIMアプリケーション) | ・Desktop Subscription: 43万7000円(1年契約、アドバンスサポート付の場合) |
Autodesk InfraWorks 360 LT 2016 (InfraWorks 360からプロジェクト コラボレーション機能、レンダリング機能を除いたもの) | ・Desktop Subscription: 14万6000円(1年契約、アドバンスサポート付の場合) |
主な新機能 ・地図の任意の部分から3Dモデルを作成する「Model Builder」機能を正式搭載。プロジェクトの形状に合せてポリゴンでの範囲指定が可能に ・InfraWorks 360とAutodesk Civil 3Dとのデータ相互運用性を向上。プロジェクトの概略検討と、詳細な検討の互換性が向上 ・集水域を地形から自動取得することで雨水の流れを簡易的に視覚化 |
また、車両走行の軌跡を解析できるアプリケーション「Autodesk Vehicle Tracking」も発表された。車両だけでなく路面電車、航空機の走行軌跡の分析が可能だ。縦断方向のクリアランス確認、Civil 3Dサーフェス上での車両の腹打ち確認、2D/3Dアニメーション作成などの機能を搭載している。
名称 | 希望小売価格(税別) |
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Autodesk Vehicle Tracking(車両走行の軌跡を解析するなど、交通機関の分析と設計を行うアプリケーション) | ・Desktop Subscription: 11万1000円(1年契約、ベーシックサポート付の場合) ・永久ライセンス: 28万円 ・Maintenance Subscription: 4万2000円 |
主な新機能 ・車両、路面電車、航空機の走行軌跡の分析 ・縦断方向のクリアランス確認、Civil3Dサーフェス上での車両の腹打ちの確認 ・2D/3Dアニメーション作成機能など |