ICT総研は4月16日、公衆無線LANサービス(Wi-Fiサービス)市場に関する調査結果を発表した。

結果はICT総研が独自に調査したもの。公衆無線LANサービス事業者や関連企業への取材、ネットユーザー4412人へのWebアンケート調査の結果を集計・分析した。

調査結果によると、公衆無線LANサービスの2014年度末(2015年3月末)利用者数は2278万人で、そのうち個人利用者が1987万人、ビジネス利用者が291万人という結果になった。

ICT総研の予測では、2015年度末が22%増の2,779万人に拡大する見通しで、個人利用者だけでも2448万人に達する勢い。さらに、毎年400~500万人程度のペースで伸び続け、2016年度に3000万人を突破、2018年度には4000万人を超えるという。

スマホユーザーの過半数が公衆無線LANサービスを利用

ここからは各調査結果の詳細を見ていこう。公衆無線LANサービスを利用していると回答したのは全体の36.1%にあたる1592人であった。

スマートフォン利用者に限定すると、スマートフォンユーザー2,159人のうち56.1%にあたる1,212人が利用している。スマートフォン利用者の多くが契約時に携帯電話事業者の公衆無線LANサービスに加入することが要因と考えられるという。

キャリア系事業者ではNTTコムが顧客満足度1位

キャリア系事業者の公衆無線LANサービスでは、OCNホットスポット(NTTコミュニケーションズ)の利用者満足度が59.5ポイントで1位。フレッツスポット(NTT東西)が2位、ソフトバンクWi-Fiスポットが3位と続いた。

施設運営事業者の公衆無線LANサービスでは、atSTARBUCKSWi2の利用者満足度が65.8ポイントで1位、2位はHANEDA-FREE-WiFi(羽田空港)が62.9ポイントで2位となった。

携帯電話事業者はLTEなどの高速無線ブロードバンドサービスインフラを拡充しているが、電波が混み合う時間帯には通信速度が低下するため、人が集まるエリアでは公衆無線LANを利用することを推奨し、線LAN基地局の増設を進めてきた。

固定系通信事業者も、主に宅内で利用するブロードバンドサービスを屋外でも利用できるようにするため、公衆無線LANサービスの拡充に注力している。

また、カフェやコンビニ、交通機関などを運営する企業も、自社施設内でのブロードバンドサービスの利便性を高めるため公衆無線LAN基地局を設置することが一般的になっている。

無線LAN対応のモバイル情報端末は2017年度に5,159万台へ

Wi-Fi通信機能が標準装備されたモバイル情報端末は、伸び率が鈍化しているものの台数ベースでは増加し続けている。2012年度に出荷台数4455万台だった無線LAN対応モバイル情報端末は、2014年度に4693万台となった。

今後もスマートフォンやタブレット端末の増加とともにWi-Fi対応端末は増え続け、2017年度の年間出荷台数は5159万台に達する見込み。自宅や職場など屋内での無線LAN利用環境が整備されてきたこともあり、これらの規格に対応したモバイル情報端末は今後も増え続けると予測している。

さらに、近年では日本を訪れる外国人旅行者は激増しており、訪日外国人の公衆無線LANサービスのニーズが拡大している。2020年の東京オリンピック開催に向けてより多くの外国人が来日することが見込まれるため、外国人観光客が利用しやすい公衆無線LANサービスのインフラ構築が進み、その相乗効果で国内の利用者数も拡大するとしている。