「デジタルハリウッド」と聞くと、クリエイターやデザイナーの養成学校の運営元というイメージを持つ読者も多いのではないだろうか。しかし今回、デジタルハリウッドが立ち上げたのは「G's ACADEMY TOKYO」というエンジニアを育成するためのスクールだ。

今年1月、「世界を変えるGEEKを養成する」という理念のもと、デジタルハリウッドは、業界を牽引する各企業やシード・アクセラレーターと連携し、次世代エンジニア養成学校「G's ACADEMY」の開校を発表。4月11日にその1期生となる学生の入学式が行われた。

「G's ACADEMY」エントランス 会場はレバレジーズが提供する

初心者や文系出身者からも広く学生を募集したところ、事前の説明会には約400名もの参加者が来場し、143名が実際に受験したという。そのうち、合格したのは50名。選抜試験を勝ち抜いて集まった“GEEK”の卵たちは、一体どのような経歴を持つ人たちなのだろうか。

「世界を変えるGEEK」の素質を見極める選抜試験とは

入学試験として、頭の回転の速さを測る「IQ審査」と、アイディアのおもしろさを評価する「IDEA審査」が行われた。

IQ審査では、実際のIQテストから抜粋した問題が使用された。どの問題も文章をよく読めば解けるものだが、制限時間が短く、数学的・論理的思考のスピードが試される。

IDEA審査では、スライド3~10枚で、受験者の考えるサービスについてのプレゼンテーションが行われた。仲人を増やすという新しい形の結婚仲介サービスや、スマートウォッチで男女の心拍数を計測し、一緒に過ごしたときに数値が高かったカップルをマッチングするサービス、リアル広告の反響を調査するサービスなど、すぐにでもビジネスとして成り立ちそうな内容の提案も多く見受けられたという。

合格したのは一体どんな人たち?

合格者には、元自衛隊員という経歴を持った男性や、育休中の2児のママ、同コースのために大学を休学して上京する学生など、個性豊かなメンバーが集まった。

「G's ACADEMY」入学式の様子

合格者の最年少は20歳の大学生、最年長は39歳の社会人で、平均年齢は28.3歳となっている。また、初心者向けのカリキュラムにすると謳っていた同コースだが、プログラミング経験者であるSIer勤務の会社員が、Web業界への転職を目的に受験したというケースも目立ち、合格者の23%がエンジニア出身という結果になった。IQ審査による数学的思考力が問われる選抜が行われたのもあってか、一橋大、京都大などの難関国公立大学出身者が多いのも特徴だ。

オリエンテーションを聞く入学者たち

将来的に起業を考えている合格者は8割にも上った。参加者のうち約20名は、コース終了後すぐにでも新しくサービスを始めたいという気持ちを持っているそうだ。説明会のときに多く見られた「教養として」同コースを受講することを考えている人は、合格者には一人もいなかった。

第1期は週末集中型のプログラマー養成コース

第1期では、週末集中型の「Webサービスディベロッパーコース」「Androidアプリディベロッパーコース」の2つのコースが用意されている。

参加者たちは、毎週末の実践的な課題を経て4カ月でプログラミングをマスターした後、2カ月間の卒業制作期間に入る。卒業制作では、バージョン管理ツール「GitHUB」を用いて、現役のエンジニアであるメンターから直接アドバイスを受けながらサービスを開発していく。そして、コースの最後に行われる「Global GEEKオーディション」で、さまざまな企業やシードアクセラレーターがサービスを評価。スカウト・出資を行う可能性もある。

G's ACADEMYのこれから

G's ACADEMYの今後の展開として、第2期生となる7月コースの開講が決定しており、4月18日より学校説明会が開催される。第1期生は、受験者142人中50人が合格で、約2.8倍の倍率となったが、エンジニアの裾野を広げていきたいという事務局側の狙いもあり、今後は定員枠を増やして倍率を下げ、多くの方に受講してもらえるようにしていきたいそうだ。また今回は、合格者の半分以上が社会人という結果になったが、大学生向けの専用コースなども計画しているという。

ここから一体どんな起業家やエンジニア、サービスが生まれてくるのだろうか。今後も、G's ACADEMYに期待したい。