デザインやクリエイティブ関連の製品を取り扱う総合商社Tooは、DTPの黎明期と言える20年ほど前からDTPスクールを開講している。今回、同社が運営するDTP・WEBデザインスクール「Too Training Center Desi(デジ)」の「Illustrator基本講座」を体験受講してきたので、その様子をレポートする。

「Illustrator基本講座」の授業の様子。受講生は"最大10人"の少人数制

忙しい人でも参加しやすい「1日完結型」講座

「Illustrator」と言えば、"デザイナー御用達"の定番ツールだが、プロのデザイン業務に限らず、職場のちょっとした案内状やお店のチラシ、年賀状の作成など身近な用途で使われているケースも多い。印刷物などを制作するためのソフトのデファクトスタンダードとなっているだけあって非常に多機能だが、"プロ向け"という印象が強いせいか初心者には敷居が高く、使ったことがないという人は多いかもしれない。

あるいは、興味を持って触れてはみたものの、操作が難しく挫折してしまった人もいることだろう。実は筆者もそのひとりで、Adobe Creative Cloudのコンプリート版(全部入り)のユーザーでありながら、Illustratorには手を出せずにいた。そこで今回は、筆者のような初心者でも受けられるというTooの「Illustrator基本講座」を体験してみた。

「Illustrator基本講座」は、Illustratorの基本操作を1日(10:00~17:00の6時間)で学べる初心者向けの講座。ドロー系とペイント系の違いや画面の説明、ファイルの開き方から始まり、オブジェクトの操作や作成、カラー設定、文字入力、ペンツールとベジェ曲線、地図作成、ファイルの互換、保存、プリントなどについて、実際にパソコンを操作しながら習得できる。

同講座の最大の特徴は「1日で完結」すること。何カ月も通わなくても、必要な知識を1日でみっちり学べるので、時間が取りづらい人でも受講しやすい。また、「最大10人まで」という少人数制なので、講師との距離が近く質問もしやすいのもメリットだ。さらに「受講料以外は一切不要」なので、入会金や教材代などの別途費用が掛からないのも嬉しいところ。受講対象は「パソコン(MacもしくはWindows)の基本的な操作ができる人」としており、デザインやIllustratorに関する知識がまったくなくても、職場や自宅のパソコンでWebページを閲覧したり、メールをやり取りしたりできる人であれば大丈夫とのことだ。

最大10人という少人数制なので、教師からの手厚いサポートを受けることが可能。受講生のパソコン画面を講師が背後から確認しながら進めるので、例えつまずいていても即座に駆けつけて丁寧にフォローしてくれる

「Too Training Center Desi 東京校」は、東京メトロの虎ノ門と神谷町から徒歩圏内の便利な立地だ。教室に入ると前方に教壇はなく、代わりに講師のパソコン画面を映し出すスクリーンが設置されていた。講師は教室の最後部にあるパソコンを操作し、前方のスクリーンで操作方法を見せながら講義を行う。受講生はひとりにつき1台ずつ用意されたパソコンを使って、あとに続いて同様の操作をすることで習得していくという形式になっている。

講師が後ろからすべての受講生の画面を確認しながら授業を進めていくので、操作に戸惑っていてもすぐにかけつけてサポートしてくれる。もちろん、受講生のほうから質問することも可能。教室のパソコンはすべてiMacが用意され、「Boot Camp」によってWindows PCとしても起動できるので、MacでもWindowsでも、自身が利用しているOSにて受講できる(MacかWindowsかは申込時に指定)。また、キーボードも申込時に指定したOSに応じてMac用とWindows用が用意されるということだ。ちなみに、各パソコンには「Illustrator CC 2014」(最新バージョン)がインストールされている。

簡単な作例で基礎を学べる

今回の講義内容は、Illustrator初心者の筆者にとって知らないことだらけの内容だった。しかし、各機能の役割や操作手順がわかりやすく丁寧に説明され、オリジナルの教科書の解説もわかりやすいため戸惑う箇所はほとんどなかった。ファイルの開く際にも手順をひとつずつ教えてくれるし、「ダブルクリック」を「2回クリック」と呼ぶなど、専門用語を避けて初心者が戸惑わないようにという配慮が随所に見られた。

特に印象に残ったのは、午前中に教わった内容だ。「オブジェクトの作成」、「線の設定」、「カラー設定」、「オブジェクトの組み合わせ」、「新規ドキュメント作成と保存」、「グループ」といった部分を学んでいったのだが、終盤では、学んできた機能を使って「ティーポット」を描く7~8分間の練習時間が設けられた。筆者が台形の描き方に苦労していると、講師が隣に来てくれてヒントを出してくれたため無事に描くことができ、慣れない作業を成し遂げたときの達成感も味わえた。

線やカラー設定、パスファインダー、グループなどを学んだ。約1時間後にはカップとソーサー、ティーポットを描けるまでになった

講義中、ほかの受講生からも何度か質問が投げかけられ、講師は聞かれたことを丁寧に解説していた。少人数制のため講師までの距離が近く、それほど大きな声を出さなくても声が届くため、大人数の前で発言するのが苦手な人でも気軽に質問することが可能だ。ちなみに講師陣は全員がIllustratorだけでなく、PhotoshopやInDesignについての知識もあるとのことなので、それらのソフトとの連携に関する質問も可能とのこと。

体験受講後、同スクールの講師・高木さんに「Illustrator基本講座」にはどんな方々が来ているのか、現在の受講状況についてお話を伺った。

Too トレーニング課 高木さん

――受講生はどんな方が多いですか?

高木さん: 営業企画などの方々が、よりデザイン性の高い提案資料などを作成するために受講されているケースが多いです。あまりデザインの知識がなく、周囲に聞ける人がいないという状況から申し込まれるようですね。Illustratorを「PowerPointの次の制作ツール」としても捉えられているようです。

――受講者の男女比率と、企業・個人の割合をお教えください。

高木さん: 男女比は3:7と女性の割合が多いです。企業と個人の比率は、企業7割、個人3割といったあたりですね。

――今回は、Illustratorの「基本講座」を体験しましたが、上級者向けの講座はあるのでしょうか?

高木さん: はい。さらなるスキルアップを目指したい人を対象とした「Illustrator実践講座」が用意されています。チラシを作成しながら効率アップに便利な機能を習得できるのに加えて、商業印刷用のデータを作成する際のルールについても学ぶことができます。

――ありがとうございました。

Illustratorと他のソフトの講座をセットで受講することも

今回体験受講してみて、少人数制ならではの講師との距離の近さや質問のしやすさを実感した。それと共に、講義内容も非常にわかりやすかったというのが率直な感想だ。授業の進み方については人それぞれ感じ方が異なると思うが、筆者にとっては早すぎず遅すぎずちょうど良いと感じた。せっかく基本的な使い方を覚えたのだから、今度時間の取れたときには、実践編を受講してみるつもりだ。

今回レポートしたクリエイティブ系ソフトの講座のほかにも、Too本社のオープンスペース"The Gallery Too"では、クリエイター向けの無料セミナーイベントを開催している

なお、Tooの「Too Training Center Desi」には、Illustrator講座のほかにも、PhotoshopやInDesignの講座、電子書籍やWebデザイン向けの講座、それらの2~5つの講座を組み合わせた「講座セット」などが用意されている。さらに同社では、クリエイターを対象とした無料セミナーも多数開催しているため、詳細については「Too Training Center Desi」のWebページを参照してほしい。