米ニューメキシコ州で6年間行われたスマートグリッドの日米共同プロジェクトで、夕方の家庭電力消費量を最大で約10%抑制できることが確かめられた。

このプロジェクトは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が、ニューメキシコ州政府、米エネルギー省(DOE)傘下の研究所などと協力して実施した。2013年から、同州ロスアラモス郡の住宅、約900軒を対象に、時間帯別の電力料金に差をつけるなど消費者の節電行動を促す効果を確かめる検証実験を行った。翌日の気温や電力需給の予測に基づいて時間帯別電力価格を決め、パソコンや携帯電話に表示して各家庭に知らせるという方法だ。

この結果、電力使用量が増える夕方、「エアコンの温度設定を変更する」あるいは「外出時間を調整する」などの節電行動を促す効果が、確認された。電力消費量抑制の効果は、夕方の時間帯で最大約10%に上る。夕方に電力使用量が増える理由は、太陽光発電の大量普及によって発生する「ダックカーブ問題」による。ダックカーブ問題とは、NEDOによると「太陽光発電の系統連系が増えるにつれて、昼間の実質電力需要が大きく下がり、夜のピーク需要の差が広がることで、夕刻に短時間かつ急速に火力発電の電力供給を増やす必要性が出る」ことを指す。

翌日の需要を予測して、それに応じた時間帯別電力料金を設定する「デマンドレス」と呼ばれる今回の方法をうまく運用することで、夕方の火力発電量を抑制し、その結果、電力需要の急激な変化に対応するために必要な系統用蓄電池の容量も削減できることが検証できた、とNEDOは言っている。

この日米共同プロジェクトは2014年度で完了した。

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