シマンテックは3月10日、都内で通信・インターネットサービス事業者のとの協業事例に関する記者説明会を行った。

両社は協業事例として、ニフティのセキュリティサービス「常時安全セキュリティ24プラス」において、ウィルススキャン機能「Symantec Protection Engine」、安全評価機能「Symantec DeepSight Intelligence Datafeeds」が採用されていることを紹介した。

シマンテック 執行役員 セールスエンジニアリング本部長 外村 慶氏

ニフティ スマートプラットフォーム事業部 スマートプラットフォームサービス部 部長 佐藤 淳之氏

説明会の冒頭、シマンテックの執行役員 セールスエンジニアリング本部長 外村 慶氏は、「IoT時代に有効なセキュリティ・ビッグ・データの販売強化」と題し、シマンテックが通信事業者とこれまで行ってきた協業の事例や、今後、セキュリティビッグデータの販売を強化する姿勢について説明した。

通信キャリアとも協業

2000年にISP/ASPビジネスに本格参入して以来、シマンテックはさまざまな事業者と協業。直近3年では、2012年にKDDI、2013年にNTTドコモに対し、主に迷惑メール対策のソリューションを提供している。

また、昨年は、ソフトバンクテレコムの法人向けサービス「ビジネスコンシェルジュ・モバイルマネジメント」で、法人事業者に提供するタブレットのセキュリティなどを請け負っている。そして、今年2月に提供開始となったニフティの常時安全セキュリティ24プラスで、Symantec Protection EngineとSymantec DeepSight Intelligence Datafeedsが採用された。

外村氏によると、これまでシマンテックは、国内サーバや企業内PCといった、約250万台のハードウェアについてのソリューションがメインだったという。

しかし今後は「2014年時点ですでに5億5700万台もあるといわれるIoTデバイスの環境に対して、同じようにセキュアなものをどうやって提供していくのかというのが、セキュリティに関わるものすべてにとって悩ましい問題」とし、IoT時代に有効なソリューションが必要だと指摘した。

その際にシマンテックの強みとなるのが、セキュリティのビッグデータだと外村氏は語る。例えば、KDDIやNTTドコモの迷惑メール対策で、月間84億以上のメールを検査してきた実績を紹介。現在、シマンテックは3.5兆件のセキュリティに関するデータを保有し、今でも毎秒4万件のデータが増え続けているという。

また、外村氏は、シマンテックはビッグデータを保有しているだけでなく、それを解析し、活用できる"インテリジェンス"を持っており、「ここに対しては絶対的な自信を持っている」と胸を張った。このインテリジェンスをユーザーの手元に提供する方法とスピードが重要だと考え、そのために通信事業者との協業が必要だと判断。ニフティとの協業が、それを具現化したものだと語った。

ニフティはなぜシマンテックと組んだのか

次に、ニフティのスマートプラットフォーム事業部 スマートプラットフォームサービス部 部長 佐藤 淳之氏が、シマンテックのソリューションを活用した常時安全セキュリティ24プラスについて、デモを交えて具体的に紹介した。

佐藤氏は、IoT時代になって、セキュリティ面でのリスクが増大していると指摘。また、自社の従来のセキュリティ製品について、セキュリティソフトのインストールが必要なこと、インストールできない機器を守れないこと、OSや定義ファイルが常に更新を必要とするといった課題を紹介。2003年から提供している「常時安全セキュリティ24」についても同様の課題があったとした。

そこで、2月3日にリリースされた「常時安全セキュリティ24プラス」では、家庭内とクラウドをシームレスに接続できる「Smart Serve」というネットワークサービスを組み合わせた。Smart Serveは、家庭内にサービスアダプタを置き、その下につながったデバイスとクラウドをVPNで直接つなぐサービス。

もともとは外から家庭内のネットワークに安全、簡単にアクセスするというサービスとして提供していたが、この技術を使って家庭内からのインターネット接続を、すべてクラウド経由で行なうようにする。パソコン、スマホ、タブレットといった家庭内機器が、すべて@niftyセキュリティセンター経由でインターネットに接続することになるので、セキュアで、しかも従来の課題であるソフトウェアのインストールやOS、定義ファイルについての課題を解決できることになった。

このセキュリティセンターで利用されているのが、シマンテックのSymantec Protection Engineと、Symantec DeepSight Intelligence Datafeedsだ。Protection Engineは通信の内容をリアルタイムスキャンしてウイルスチェックを行ない、DeepSight Intelligence Datafeedsは、ピッキングや詐欺などを行う悪質なサイトの情報を提供し、事前にそのサイトにアクセスすることをブロックする。

シマンテックのソリューションを選んだ理由として佐藤氏は、DeepSight Intelligence Datafeedsがデータ形式だったので、自社のシステムに組み込みやすかったこと、コストパフォーマンスに優れていること、ウイルススキャン等、従来からの採用実績で信頼性が高かったことを挙げた。

また、家庭内のネットワークに新たな機器が接続された際に通知する機能、子どもの無防備なインターネット利用を防止するペアレンタルコントロール、デバイスごとに利用できるインターネットコンテンツのレベルを設定できる機能の追加を予定しており、今後もシマンテックのソリューションを活用してセキュリティ機能を強化していくと佐藤氏は語った。

「常時安全セキュリティ24プラス」では、家庭内に手前のサービスアダプタを設置することで、パソコンやタブレットはもちろん、ウェブブラウザ機能を備えるゲーム機などもセキュアにインターネットにアクセスできる