NECソリューションイノベータは3月17日、バーチャル・リアリティ(VR)を利用して動作や環境などを検証する「仮想検証」において、「人間中心設計(Human Centered Design、以下HCD)専門家」のノウハウを取り入れた分析・評価を行う技術を開発したと発表した。2016年度の製品化を目指す。

新技術では、専門家の評価指標に基づく分析結果を、数値やイメージで仮想空間に表示する体感分析エンジンにより専門的な知識が無くても「腰が疲れる」「手が届きにくい」などのユーザー・エクスペリエンス(UX)上の問題点や潜在的な課題を視覚的に把握できるという。

また、利用者の体格や視界などの身体的特性に合わせて検証環境を設定することで、視覚障害者向けのバリアフリー設備など、様々な利用シーンに対応した仮想検証が可能とのことだ。

新型ATMのデジタルモックアップによる検証イメージ

複数の利用者による検証イメージ・作業者の目線

同・管理者の目線(視界の中央が作業者)

同技術では、HCD専門家による評価指標をデータベース化し体感分析エンジンを開発。これにより分析結果をイメージで仮想空間に表示可能になる、仮想空間における動作の分析・評価機能によりUXを向上させる「気づき」を支援するという特長を持つ。

また、利用者の体格や視界などに合わせて設定を変えることで、例えば大人には見える高さの標識が子どもの視界にも入っているのかなど、身長差を考慮した設計の評価も可能という。

さらに、同じ仮想空間を複数の利用者が別々の場所からリアルタイムに体感可能だ。

ATM操作中に後ろから手元が見えないかなど、実際の利用者の目線を複数人で体感することで、潜在的なニーズや課題を共有体験できるという。仮想空間で空中にメモを書くことも可能なため、体感しながらその場でミーティングも行えるとしている。

同社では現在、同技術の実用化に向けて、より現実に近い感覚で仮想検証ができるヘッド・マウント・ディスプレイを利用した実証実験を行っているという。その結果を踏まえて検証精度を高めるとともに、体感評価を活用して新しい価値を創造していく。