セキュリティ運用管理サービスプロバイダであるSecureWorksは1999年に設立され、米国のアトランタに本拠地を置く。同社では、マネージド・セキュリティ・サービス (MSS) 、セキュリティ上の脅威分析、セキュリティ&リスクコンサルティングの3つサービスを提供する。
SecureWorksは2011年にDellに買収され、日本では、2013年2月よりサービス提供を開始した。そして、今年に入り新たな責任者を迎え、さらに国内事業を強化しているという。そこで今回、米アトランタで同社の幹部にインタビューし、同社のビジネスの概要と今後の戦略について話を聞いた。
セールス、マーケティング、事業開発を含むすべての新規市場開拓業務を統括している、米Dell SecureWorks グローバルセールス&マーケティング担当 バイス・プレジデント タイラー・T・ウィンクラー(Tyler Winkler)氏は日本市場について、「日本は世界でもトップクラスのIT市場で、多くの投資を行っている。マーケットとしても大きく、非常に多くの機会がある。Dellにとっても、SecureWorksにとっても、日本は非常に重要な市場だ。日本にはセキュリティに対する強いニーズが存在し、SecureWorksにはそれに応える能力がある。日本は、Dell SecureWorksのグローバル展開を図り、成長を遂げる上で重要な足がかりとなると考えている。今後も日本に対する投資はしっかり行っていくつもりだ」と、今後、日本によりフォーカスしていく姿勢を明らかにした。
SecureWorksがDellの一員になり、何が変化したのかという問いに対して同氏は、「Dell SecureWorksへの積極的な投資だ。買収前の従業員数は約750人名だったが、現在では世界の拠点を合わせて1,600人に増加している。収益も3倍になった。この好調な実績により、新たなサービス提供に向けた投資を行うことができ、新市場に進出することが可能となった。現在では、ヨーロッパで大規模な事業を展開しており、中東にも進出している。オーストラリア/ニュージーランドにも拠点を置いている」と、市場の拡大を挙げた。
Dellはまた、アドバンストマルウェア防御・検知サービス(Advanced Malware Protection andDetection Service やアドバンストエンドポイント脅威検知サービス(Advanced Endpoint ThreatDetection Service といった新しいセキュリティサービスだけでなく、既存のITセキュリティサービスに関しても、同社の技術革新を強化するためのリソースを提供しているという。
同社は特に日本を強化しつつあり、その一環として今年の1月には新たな責任者としてジェフ・モルツ(Jeff Maltz)氏を派遣している。
米Dell SecureWorks Japan ジェネラル・マネージャ ジェフ・モルツ(Jeff Maltz)氏は、SecureWorksに13年間勤務しており、2015年1月より、Dell SecureWorks Japan のジェネラル マネージャ(GM)として日本に駐在し、日本におけるセキュリティビジネスを行っている。
タイラー氏はジェフ氏を指名した理由を、「彼は長年の幹部指導者の一人であり、サイバー脅威やセキュリティサービスについても熟知している。また、当社の戦略としてどのようにして新たな市場を創出し拡大すべきかも十分に理解している。人間的にも、強い意志を持ち、サイバーコミュニティの中でも有名だ。ジェフを日本に送ることで、SecureWorksの認知を高めることができる」と説明した。
ジェフ氏は着任早々、もともと6名だった日本のSecureWorksチームを、6週間で18名に増員。体制を強化している。
同氏は日本における課題について、「Secureworks自体もそうだが、日本でのセキュリティの認知は高くない。そのため、セールス、マーケティングなどを通じて啓蒙していくことが重要だ。セキュリティ市場は小さな独立系ベンダーが多く、グローバル規模でシェアが高いベンダーはない。そこを変えていきたい。当社はDell SecureWorksが持つセキュリティの高度な専門知識と高品質のサービスを日本市場で実証し、お客様からの支持を獲得していく必要がある」と説明した。
同氏は日本での目標について、「日本ではここ1年で200%の成長を達成しており、今後もこの成長を続けていく。これはすでに米国でもやっているので、日本でもできる」と日本での成功に対する自信を語り、「金融やマーケットの大きな製造業に集中するが、サイバーアタックは、いつ、どのようなデータに対して行われるかわからないので、すべての業種がターゲットだ。日本の企業はとにかく信頼を重視するので、信頼を勝ち得るためにしっかりと活動していく。ソニーがアタックされた例では、多くの企業は非常に驚いており、どうすればいいのか悩んでいる。日本でお客様が直面しているこのようなサイバー脅威に対する理解を促進し、Dell SecureWorksのセキュリティの専門知識と優れたサービス、そしてその実行力を証明していく」と方針を語った。
日本でどのようなサービスを提供しているのかについては、「川崎のSOCを通して、侵入防止サービス/侵入検知サービス、ファイアウォール管理および監視、サーバーの監視といったマネージドセキュリティサービスなどを提供している。また、ペネトレーションテスト、ウェブアプリインシデントレスポンスサービスなどのセキュリティリスクとコンサルティングサービス、そして脅威インテリジェンスサービスも提供している。現時点で日本で提供してるのは、米国と欧州で提供しているサービスの一部だが、今後は求められるサービスを検討しながら、万全なサービス提供体制の下、提供を行っていきたい。攻撃手法は常に変わっていくので、それに対応していくことが重要だ。日本ではとくにSLAが重視され、要求も厳しい。ただ、その要求に応えていかなければ、他社との競争に勝っていけない」と述べた。
では、何を武器に日本で勝負していくのか? これについてジェフ氏は、「SecureWorksの差別化要因は75の国と地域に4000の顧客がおり、150の業種に対応したサービスを提供していることだ。Secureworksのインテリジェンスはすべてつながっていて、トップレベルになっている。その知識は他のセキュリティベンダーのものと桁が違う。われわれはプロダクトを売っているのではなく、サービスを売っている。そこに対する知見を我々はもっている」と語った。