村田英一 京都大学情報学研究科准教授、田野哲 岡山大学教授、梅原大祐 京都工芸繊維大学准教授らによる研究グループは3月3日、スマートフォンなどの携帯端末が近くの端末同士で相互に連携して、基地局と通信する技術を開発したと発表した。

無線LANやLTE(Long Term Evolution)などで利用されている「MIMO(Multi-Input Multi-Output)伝送」は、同じ周波数で同時に複数の信号を伝送できる技術であり、アンテナ数にほぼ比例した通信容量が得られる。

これに対し、今回開発された技術は、近傍の端末が高周波数帯を利用して相互に連携することによって(下図の緑の線)、等価的に多数のアンテナを備えた1つの端末として機能させるもの。これにより、連携するユーザー数にほぼ比例して通信容量を拡大することが可能(下図の赤の線)。

携帯端末が助け合って混雑を解消している様子 資料:京都大学

今回開発した技術は、多くの人が通信を行うと1人当たりの伝送速度が減少するような、電車やバス内、イベント会場など、人が集まっていながら相対的にはあまり動かない環境での利用に特に適している。

今回の研究成果は、電子情報通信学会移動通信ワークショップ(無線通信システム研究会、スマート無線研究会、短距離無線通信研究会、複雑コミュニケーションサイエンス研究会併催)で発表される。