フルHD画質でのテレビ会議を手軽に実現する「AVer EVC300/EVC900」
企業の拠点同士や、モバイル端末で外出先から参加できるテレビ会議システム。便利なのはわかっているが、使い勝手やコストの問題から導入を先送りにしている中小企業も多いのではないだろうか。そこで本記事では、コストパフォーマンスの高さに加えて高精細な書画カメラなども利用できる、アバー・インフォメーションのテレビ会議システム「AVer EVC300/EVC900」とモバイル参加型アプリ「EZMeetup」を使ってみたので紹介しよう。
アバー・インフォメーションが提供する「AVer EVC300/EVC900」は、中小企業でも手軽に導入できるH.323とSIPプロトコルに準拠したコストパフォーマンスの高いテレビ会議システムだ。いずれも1080p/30fpsのフルHD画質を実現しているほか、簡単にセットアップ・利用できるのが特徴。付属のカメラには光学16倍ズーム機能を搭載し、ズームに加えてパンやチルト操作もリモコンから行える。AVer EVC300/EVC900にPCや書画カメラ「AVerVision」シリーズを接続することで、PC内の会議資料や書画カメラの映像など各種コンテンツを簡単に共有できるのもポイントとなっている。
AVer EVC300とEVC900は、同時接続が可能な拠点数に違いがある。AVer EVC300が本体を含めて4拠点(EZMeetup PC版3ライセンスキー付き)、EVC900が10拠点(EZMeetup PC版9ライセンスキー付き)に対応したMCU (Multi-point Control Unit:多地点接続装置)を内蔵している。また、通話拠点は720p/30fpsのHDカメラを備えたエンドポイント端末「AVer EVC100/EVC125P」だけでなく、Windows/MacやWindowsタブレット、iOS/Android搭載タブレット・スマートフォンまで幅広く対応しているのも大きな魅力だ。
用途や環境に応じて柔軟に使い分けられるモバイル対応
Windows/MacやWindowsタブレットとの通話には、Windows/Mac版のクライアントソフト「EZMeetup」を使用する。従来はPC版ライセンスキーが有償提供となっていたが、現在ではライセンスキーがAVer EVC300/900に付属となっている。インストールしただけでは通話開始から5分経過で再接続が必要になるが、AVer EVC300/EVC900に付属するライセンスキーを使うことで5分間の機能制限を解除できる。もちろん、ライセンスは必要に応じて有償での追加発行が可能。
iOS/Android搭載タブレット・スマートフォンに関しては、それぞれApp StoreとGoogle Playから無料アプリ「EZMeetup」がダウンロードできる。こちらはライセンスキーを取得する必要がなく、アプリさえインストールしてあればいつでも・どの端末からでも通話が可能。ただしWindows/MacやWindowsタブレットと異なり、コンテンツの送信機能は搭載していない。また、相手からコンテンツを送信された際、Windows/MacやWindowsタブレットではコンテンツと各話者の映像を画面分割で表示するなどの表示切替ができるが、iOS/Android向けアプリの場合はコンテンツのみを表示する、といった点で差異がある。
機能面で多少の違いはあるものの、ライセンスキー不要でどの端末からでも通話が行えるのは、外出先とのテレビ通話が多い企業にとって非常に嬉しい点といえる。
簡単なセットアップ&操作で高品位なテレビ会議が可能
それではここから、現場におけるAVer EVC300/EVC900とモバイル参加型アプリEZMeetupの使い勝手を見ていこう。今回は通話先として、Windows搭載ノートPCとiPadの2拠点を用意し、実際に離れた場所でのテレビ通話を行ってみた。
まず本体については、セットアップが簡単に行えることに加え、設置場所を選ばないスリム設計なのが魅力。ディスプレイ下部のラックなどにもすっきりと収まるため、シンプルな見た目のまま会議システムが導入できる。
テレビ会議の開始方法は非常に簡単で、リモコンの「電話帳」ボタンを押し、表示された電話帳から通話先を選択するだけ。通話先のIPアドレス入力や、通話履歴からの選択も行える。また外部から着信があった際、基本的には通話開始を選ぶ操作が必要だが、事前設定により自動で通話を開始する機能も備わっている。
実際にテレビ通話を行ってみたところ、画質・音質とも非常にクリアで、遅延のないスムーズな通話が可能だった。もちろん、通話先がモバイル端末の場合は現地の電波状況やカメラ性能なども影響してくるが、今回のレビュー環境ではまったく問題のない印象を受けた。
ちなみに、AVer EVC300/EVC900およびWindows/MacやWindowsタブレットでは、各話者やコンテンツの表示方法を多彩なレイアウトから選択できる。発言したユーザーの映像が自動で大きくなるよう、音声検知による自動切り替え機能が選べるのも、多人数でテレビ会議を行う際は大変便利といえる。
会議をスムーズに進められるコンテンツ共有機能と書画カメラ
続いては、コンテンツの共有機能を試してみた。まずはAVer EVC300/EVC900に接続したノートPCから、会議資料として一般的に多く使われるPowerPointファイルを共有。通話先であるWindows搭載ノートPC、iPadともにタイムラグなくコンテンツが表示されるため、企画書や業務実績など各種資料を閲覧しながらスムーズに会議を進めることができる。
資料ファイルではなく、実際の製品や図面などを共有したい場合はオプションの書画カメラが役に立つ。同社ではメカニカルアーム/フレキシブルアーム/ワイヤレスタイプなどバリエーション豊かな書画カメラをラインアップしているが、今回試用したのは最大192倍(光学12倍/AVerズーム2倍/デジタル8倍)ズームを備えたメカニカルアームの「M70」と、最大16倍(AVerズーム2倍/デジタル8倍)ズームを備えたフレキシブルアームの「F15HD」だ。有効画素数は500万画素で、1080p/30fpsのフルHD画質を実現。アームを最大に伸ばした状態ではA3サイズまでの撮影が可能なほか、ズーム機能を使うと製品や図面などのクローズアップ撮影も簡単に行える。パンフレットや図面などから、サンプル製品の細かい改良ポイントを見せたい場合まで、さまざまなシーンで活躍してくれるだろう。
会議映像の録画まで行えるオールインワンシステム
AVer EVC300/EVC900の本体前面にあるUSBポートに市販のUSBメモリを挿すだけで、会議映像が簡単に録画・再生できるのも面白い機能だ。専用再生ソフト「VCプレーヤー」を使えば映像を再生できるだけでなく、再生中に映像のレイアウトを変更し、会議中には見えにくかった部分を確認したり、MP4形式やQuickTime形式のムービーファイル(.mov)へ変換・保存することも可能となっている。
そのほか、今回は各拠点の話者が1名のため使用しなかったが、ディジーチェーン接続によりマイクを4個まで拡張できる機能も備えている。1拠点で大人数が参加するような会議が多い企業の場合でも、「マイクから遠い参加者の声が聞き取りづらい」といった問題が出ないのは嬉しいところだ。
このようにAVer EVC300/EVC900は、オールインワンながら手軽さとコストパフォーマンスの高さを兼ね備えた、中小企業にも最適なテレビ会議システムとなっている。これまでコスト面でテレビ会議システムの導入に踏み切れなかった企業はもちろん、現在使用しているテレビ会議システムに使い勝手の悪さを感じている企業は、ぜひ検討してみていただきたい。