“グローバル”が強みのシームレスなICTサービス

NTTコミュニケーションズは、ネットワークサービス・データセンターサービスをはじめとした広範なICTサービスを、グローバルに展開する通信事業者である。海外43カ国・地域123都市に拠点を展開し、196の国・地域にネットワークサービスを提供する。アジア圏では最大規模となるグローバルTier1 IPバックボーンと、アジア・欧米を中心に130ものデータセンターを保有。グローバルに高品質なサービスを提供している。

同社は2011年、「Global Cloud Vision」を発表し、“低コストかつ柔軟であり”“グローバルレベルで統一された”“安心・安全な”ICT環境を提供し、ユーザーの経営改革に貢献するというコンセプトの下、クラウドサービスに注力することを表明した。拠点・サービスごとに分散しているユーザー環境を、地域に依らずサービス横断で統合された環境へと最適化するのが目的だ。そのため同社では、NTTグループ各社やアプリケーション事業者、SIerなどとグローバルレベルで多様なパートナーシップを結び、戦略から実践まで総合的なサービスとして提供することを目指した。

このビジョンを実現したクラウドサービスが「Bizホスティング Enterprise Cloud」である。世界で初めてSDN技術を導入、柔軟性と拡張性、堅牢性を特長とし、2012年に国内外で2,400であったユーザー数は、2014年には7,500にまで拡大している。

クラウドサービス部 販売推進部門
担当部長 津田かほる氏

クラウドサービス部 販売推進部門 担当部長の津田かほる氏によれば、「グローバルシームレスなサービス強化により、海外ユーザーをさらに拡大したい」という狙いから、当初8カ国・地域/9拠点で提供していたものを、2015年にはフランス、スペイン、インド、中国・上海などでサービスを開始して、13カ国・地域/16拠点にまで拡大する計画であるという。

「Bizホスティング Enterprise Cloudは、当社の強力なバックボーンネットワークとSDN技術によって、世界各地の仮想サーバを1つのカスタマーポータルから一元的に運用管理できることが特長です。また、さまざまな用途に対応できるよう、システムは共用型と専用型、ネットワークやデータベースはコスト重視とパフォーマンス重視から選択できるほか、バックアップやセキュリティ対策のサービスも提供しており、エンタープライズ企業の基幹系システムを収容するのに最適なサービスです」(津田氏)

例えば、世界各国で事業を展開している製造業のお客様の場合、世界中のサプライヤーと同社をつなぐ統合基盤として、Bizホスティング Enterprise Cloudを選択した。設計図などの大容量のデータを安全かつスムーズにやり取りでき、開発期間の短縮とトータルコストを3割削減することに成功している。また、NTT Comの196カ国・地域のカバレージと各地域のニーズにローカライズされた体制・サービスを活用し、迅速なグローバル展開のためのICT基盤として活用しているお客様や、チェーン店を全国展開し、事業拡大や店舗数の増加によるICT環境の複雑化と運用コストの増大、災害対策が課題であったお客様において、販売・会計・生産などの各種管理を担う基幹システムを、BizホスティングEnterprise Cloudとコロケーションサービスとのハイブリッドクラウド環境へ移行し、運用管理コストを20%削減した事例もある。

NTTコミュニケーションズでは、さらなるサービス強化を目指し、2015年後半の提供開始を目標に“次世代クラウド基盤”の構築を進めている。

次世代クラウド基盤では、ベアメタルや複数のハイパーバイザーに対応した専用タイプのサーバと共用タイプのサーバを1つのクラウドサービスとして利用可能であり、さらに次期クラウド基盤に限らず既存のクラウドサービスやコロケーションサービス、他社のクラウドサービスまで含めて統合的に管理できるようになる。また、複数のサービスをSDNによって接続することで1つのシステム基盤として利用可能になるため、柔軟な構成を採れるようになり、API利用によりユーザーの運用システムともシームレスに統合することができる。

次世代クラウド基盤 概要図

ヴイエムウェアとのパートナーシップが質の高いクラウドを世界に届ける

NTTコミュニケーションズの高品質なクラウドサービスを支えるのが、ヴイエムウェアのテクノロジーである。クラウドサービス部 ホスティングサービス部門 担当課長の田口智之氏は、特に注目度が高まっているクラウドマイグレーションサービスにおいて、ヴイエムウェアとのパートナーシップが重要だと述べる。

クラウドサービス部 ホスティングサービス部門
担当課長 田口智之氏

「私たちは、基幹系をはじめとした重要なオンプレミスのシステムをクラウド化したいというユーザーニーズに応え、2014年にはクラウドマイグレーションサービスのスタッフを大幅に増員し、サービス強化に努めています。すでにVMware vSphereは、エンタープライズユーザーの仮想化基盤として標準的に浸透しています。こうしたユーザーへ負担を強いずにスムーズなクラウド化を進めるにあたって、ヴイエムウェアによる技術提供は欠かせません」(田口氏)

ヴイエムウェアは、NTTコミュニケーションズとグローバルでパートナーシップを結び、2010年頃からNTTグループにおけるサービス基盤技術の研究開発に参画してきた。新しいパートナーシッププログラムである「VMware vCloud Air Network」においても協力体制を強化し、Bizホスティング Enterprise Cloudの品質向上とコスト削減に貢献している。

さらに、次世代の新しいBizホスティング Enterprise Cloudでは、SDNがいっそう重要な存在となる。

ヴイエムウェアは、ネットワークを含めたデータセンターを構築するすべてのリソースを仮想化しソフトウェアで制御可能とする「Software-Defined Data Center」アーキテクチャを提唱している。

「以前より、コンピューティングを仮想化するだけでは不十分であり、ネットワークを含めたシームレスな統合ICT環境の提供が必要だと考えていました。SDDCの思想は、当社が実現しようとしていたサービスと非常にマッチしていたのです」(田口氏)

SDN技術を活用した「オンプレミス接続サービス」を利用することで、ユーザー企業のオンプレミス環境とBizホスティング Enterprise Cloudを、既存のIPアドレスを変更することなく柔軟に接続し、クラウドへのマイグレーションを容易にするだけでなく、両社のリソースを有効活用した、お客様のシステム環境に合わせたハイブリッドクラウドも実現できる。

「Bizホスティング Enterprise Cloudの最大の特長は、ミッションクリティカルなシステムを収容できるところにあります。そのためには信頼性とパフォーマンスをさらに高める必要があり、私たちはVMwareテクノロジーのいっそうの進化に大きな期待を寄せています。ヴイエムウェアは、各国・地域ごとにローカライズされた質の高いサービスを世界中に展開するための重要なグローバルパートナーであり、今後も共に歩んでいきたいと考えています」(津田氏)