ExaScalerは2月23日、2014年9月に開発した第2世代液浸冷却槽と、同液浸冷却槽向けに開発したマザーボードキャリアボードCPUモジュールを用いたIntel製「XeonプロセッサE5-2600/4600 v3」が搭載可能な液浸冷却システム「ESLiC-8/16/32c」と、汎用GPGPUボードなどが搭載可能な液浸冷却システム「ESLiC-8/16/32g」を発表した。
同社の小規模液浸冷却HPCシステム「ExaScaler1.0」に使用した現行液浸冷却槽「ESLC-8」は、汎用の19インチ1Uブレードサーバを8台格納することが可能だが、空冷前提で作られている1Uブレードサーバは冷却用の空気の通路となる体積が大きく、液浸冷却の目的には高価な冷媒を冷却能力以上に大量に要する欠点があった。一方で、液浸冷却に特化したマザーボードなどを開発することで、同じ体積で4倍の実装密度を実現することが当初の実験結果から理解されていたため、体積密度を4倍に上げつつ、ノード当たりの冷媒単価を下げることが可能な第二世代の液浸冷却槽を開発する合理性があったという。
そこで、初代液浸冷却槽で冷却槽内の温度分布が存在したところを、主要な半導体の温度管理をさらに厳密に行って均質化を行う構造を採用すること、保守時に液浸槽外にマザーボードを取り出して乾燥させる必要を無くすために、ガイドレールで上方に引き上げて固定して保守作業が行えるようにすること、基板構造を工夫して液浸冷却による冷却効率をさらに改善すること、液相のみによる液浸冷却に加えて、気化熱による沸騰冷却を組み合わせた「ハイブリッド液浸冷却」を採用すること、の4点を同時に新規開発することにしたという。
同社では、今回開発した第2世代の液浸冷却槽を、体積効率と冷却効率が極めて高いデータセンターを実現するためにIntel製「XeonプロセッサE5-2600/4600 v3」シリーズを搭載するためのマザーボードと、CPUモジュールを専用に開発して、「ESLiC-32c」で1液浸槽当たりIntel製「Xeon」プロセッサを最大256個、「ESLiC-16c」で同128個、「ESLiC-8c」で同64個浸漬して効率的に冷却できるようにした。また、小規模HPCシステム向けには、Intel製「XeonプロセッサE5-2600 v3」シリーズ1個につき2枚の汎用GPGPUボードなど(Intel製「Xeon Phi」、NVIDIA製「Tesla」、AMD製「FirePro」などのパッシブクーリングタイプPCIeボード)を接続して、「ESLiC-32g」で1液浸槽当たりIntel製Xeonプロセッサを最大64個と汎用GPGPUボードを最大128枚、「ESLiC-16g」で同32個と64枚、「ESLiC-8c」で同16個と32枚浸漬して効率的に冷却することを可能にしたという。
なお、「ESLiC-8/16/32c」と「ESLiC-8/16/32g」は2015年第2四半期中に発売を開始する予定。