東京工業大学(東工大)は、高周波(RF)無線給電型の超低電力無線機で、多値変調による無線信号伝送技術を開発したと発表した。

同成果は、同大 フロンティア研究機構の益一哉教授、精密工学研究所の伊藤浩之准教授、ソリューション研究機構の石原昇特任教授らによるもの。詳細は、2月22日から米国サンフランシスコで開催されている「国際固体素子回路会議ISSCC 2015(IEEE International Solid-State Circuits Conference 2015)」にて発表される。

従来、ミリワット未満の低消費電力では周波数利用効率に優れる直交位相振幅変調といった多値変調の実現が困難だったが、今回、RFID技術をベースとした「直交バックスキャッタリング回路技術」という新技術を駆使して実現したという。最小配線半ピッチ65nmのシリコンCMOSプロセスで無線機を試作し、市販の無線機の1/10未満の113μWという極めて小さな消費電力で32QAMの信号伝送に成功した。また、この無線機をRF無線給電により生成した電源で動作させたとしている。研究グループでは、同技術が今後のワイヤレスセンサネットワークの大容量化・低価格化・端末小型化につながるものであるとコメントしている。

開発した無線機のブロック図

65nm Si CMOSプロセスにより製造したチップの写真