National Instruments(NI)は、欧州原子核研究機構(CERN)との共同研究について発表した。
この共同研究は、CERNの制御システムをすべてLinux 64ビット版OSで標準化することを目的とし、最終的にはシステム性能の向上やコスト効率の良い分散型制御システムの設計、NIおよびオープンソースの専門技術を有する中小企業の参加機会の拡大を目指している。
これまで、NIは1990年代初頭より、CERNと共同で、宇宙の構成要素を解明し、宇宙誕生後の状態を理解するための数々のアプリケーションの開発に取り組んできた。中でも、大型ハドロン衝突型加速器(LHC:Large Hadron Collider)のコリメータや、MedAustronイオンビームがん治療センターは大きな成果であるという。前者では、「LabVIEW」システム開発ソフトウェアを用いて、約120台のNI PXIシステムに搭載されたステッピングモータの制御を行うアプリケーションを開発した。
そして今回は、CERNのインフラストラクチャの改善計画が中心となっている。NIは、64ビット版Linuxに対応した「LabVIEW」のリリースに先立ち、CERNのEngineering(EN)部門のIndustrial Controls and Engineering(ICE)グループをリードユーザーとし、今後も安心してNIツールを使い続けられるよう、ソフトウェア機能の確定および改善をサポートした。また、早い段階からCERNと提携してアップグレード要件を把握していたため、貴重なフィードバックを得られ、成果物に優先順位を付けることができ、64ビット版Linuxに対応したLabVIEWの品質の向上を図ることができたという。
なお、64ビット版Linuxに対応したLabVIEWは2014年に正式リリースされた。Linux 64ビット版への対応により、CERNや、世界各国の数多くの最新技術の研究所およびプロジェクトが、オープンでサステイナブルな運用環境でLabVIEWを使い、今後もその高い生産性からメリットを得られるようになるとしている。