NXP SemiconductorsとEnfucellは2月9日、フィルムベースの使い捨て温度ロガーの試作品を開発したと発表した。

同ソリューションは、NXPの温度検出用IC「NHS3100」、Enfucellのプリンテッドバッテリ、NFC(近距離通信)アンテナを搭載しており、再利用可能なロガーと同様の機能を持つ一方、サイズと製品コストの観点からアイテムごとのロギングが可能となっている。

また、搭載デバイスのうち、NXPの「NHS3100」は温度ロギング用のシングルチップソリューションで、高精度温度センサ(誤差0.3℃)、NFCインタフェース、高精度タイムリファレンス、不揮発性温度ロギングメモリ、プログラマブルCortex-M0+プロセッサを集積している。

さらに、プログラマブルなアーキテクチャの採用により、バイオ医薬製品メーカーは製品ごとに温度逸脱制限値を設定することができるのに加え、化学的ロガーに使用されている単純な熱量ベースセンサと異なり、詳細なプロファイルの設定が可能で、物流チェーン内で発生する製品ロスを最小限に抑えることができる。そして、内蔵のタイムリファレンスにより、温度制限値を逸脱した場合のトレーサビリティが物流チェーン全体で確保される。この他、組み込みNFCインタフェースは、物流チェーンの各工程や、医療スタッフが製品を投与する際にも、NFC対応スマートフォンやリーダによる製品ステータスの読み取りをサポートする。

一方、Enfucellのバッテリ技術は、柔軟なフィルム上への印刷が可能な、薄型、柔軟で環境にやさしい電源ソリューションを提供する。低消費電力の「NHS3100」を採用していることから、試作版バッテリの保存可能期間は1年、使用開始後のロギング可能期間は2年となっている。

これらにより、同ソリューションは、バイオ医薬製品のロスの削減、安全性と効能の向上に寄与する他、製品が不適切に取り扱われた時間と場所の特定も可能である。