2月8日~11日までの間、米国アリゾナ州フェニックスで「SOLIDWORKS WORLD 2015 (SWW15)」が開催されている。世界中からSOLIDWORKSユーザーや代理店が集まる毎年恒例の一大イベントだ。
SOLIDWORKSは1月にCEOの交代を発表したばかり。同ブランドを力強く率いてきた、ベルトラン・シコ前CEOを受け継いだジャン・パオロ・バッシ新CEOが、世界中のSOLIDWORKSコミュニティに向け、どのようなメッセージを送るのか注目が集まる中、初日の全体セッションでは新CEOのお披露目と新製品「SOLIDWORKS Industrial Design」が中心の発表となった。
シコ氏からバッシ氏へバトンタッチ
まず登壇したのは、前CEOであるシコ氏。同氏のもとでSOLIDWORKSは全世界に280万人のユーザーを抱えるまでに成長し、ユーザーコミュニティの数は倍増するなど急成長を遂げた。CEOとして最後に携わった「SOLIDWORKS 2015」では、3Dプリンタへの出力を可能にし、「SOLIDWORKS Inspection」「SOLIDWORKS Model Based Definition」といった新製品をリリースするなど、製品開発にも余念がなかった。シコ氏は今後、ダッソー・システムズ(ダッソー)のバリューソリューション担当バイスプレジデント(セールス)を務めることとなる。
次に登場したのはダッソーのCEOであるベルナール・シャーレス氏。シャーレス氏はシコ前CEOの多大な貢献を称えるとともに、架空のウェアラブルデバイス製造会社「Bryo」を例に取りながら、ダッソーが掲げる「3D Experience Platform」とIoTの融合によって製品の開発プロセスやサービスにどのような変化がもたらされるかビジョンを示した。
この2人の後を受けて登場したのがバッシ氏だ。バッシ氏は2011年の入社以来、SOLIDWORKSのR&D担当バイス・プレジデントとして「SOLIDWORKS Conceptual Design (旧:Mechanical Conceptual)」や、同日発表された「SOLIDWORKS Industrial Design」の開発を指揮した人物である。同氏は「テクノロジーと科学は世界を変えることができる」と語り、IoT時代の本格到来を前に「ビッグデータを回収・解析するプラットフォームが必要となる。より意思決定がしやすくなるような環境を提供する」と今後の方針について力強くコメントした。
クラウド上でデータを共有し意思決定を迅速化
SOLIDWORKS Industrial Designは、2014年に発表された「SOLIDWORKS Conceptual Design (旧:Mechanical Conceptual)」に続く概念設計ツールで、同じくクラウドをベースとする。「Conceptual Design」が機構を持つプロダクトに向けたツールであったのに対し、「Industrial Design」は機構を持たないオーガニックデザインのプロダクトの設計に向けて開発された。
同製品は「Conceptual Design」と同じく、紙とペンで行うような感覚的なデザイン工程を実現し、コンセプト設計からレンダリングまで迅速に行うことができる。「Industry Design」に「SOLIDWORKS」から図形をインポートし組み合わせて使うことや、パラメトリックな操作も可能で、プロダクトによっては「Industrial Design」だけで完結させることも可能だ。
もう一つの重要なファクターはコミュニケーションである。クラウド上にデータを置いているので、プロジェクトチーム内でモデルを共有して検討することができる。加えて、フィードバックやドキュメントの追加も共有できるので、オンラインでのブレインストーミングが実現する。
同製品のアーリーアダプタは「一番のメリットはデザイン策定のスピードが速くなること。デザインの質も高まったと思う」「コミュニケーションを記録できることが非常に役に立った」などとコメントした。