2015年2月24日、マイナビでは「ECビジネスの最新事例から学ぶ!デジタルマーケティング戦略セミナー」を開催する。スマートフォンをはじめとするデバイスが普及・進化しつつある中、企業が生き残っていくために重要なことは何か、今、何に取り組むべきかなどが、具体的な事例も交えて紹介される予定だ。マーケティングや企画部門だけでなく、それらを支えるシステム管理部門の方、また、EC事業だけではなくリアル事業(営業、店舗など)でのオムニチャネル戦略に関心をお持ちの方にも、ぜひご参加いただきたい。

本稿では、セミナーでオムニチャネル戦略について語るTIS株式会社の秋野隆氏と共に、基調講演として登壇予定のヤフー株式会社 ショッピングカンパニー営業本部 本部長 畑中基氏を訪ね、当日の講演概要やYahoo!ショッピングの現在、Eコマースの今後の展望などを伺った。

Eコマースの伸び代は、まだまだ大きい

ヤフー株式会社 ショッピングカンパニー営業本部 本部長
畑中 基氏

「セミナーでは日本のEコマース代表のお一人として、ヤフーさんがご登壇されるわけですが、ここ最近の市場の変化についてはどう捉えられていますか?」 秋野氏のこの質問から、取材は始まった。 「この10~20年の間で、オンラインショッピングは『普通のこと』になりました。Yahoo!ショッピング開始当初は、クレジットカードでの決済が20%程度でしたが、今では60~70%。カード決済への抵抗もなくなってきています。そうした状況の中で、ヤフーがどうあるべきかを踏まえて行ったのが、『eコマース革命』でした」

2013年10月、「eコマース革命」と銘打って、Yahoo!ショッピングへの出店料、ロイヤリティなどを無料にすると発表してから、約1年と4ヶ月。昨年には個人出店の受付も開始し、ストア数は1万5,000から24万店以上に、商品点数も1.4億まで激増した。

「『ヤフーに行けば世の中のすべての商品がある』という世界をつくれば、そこには人が集まり、流通が生まれ、市場もビジネスもどんどん拡大していく…今はその最初の段階、つまりストア数・商品数を増やして、地固めをしている状況です。統計の取り方にもよりますが、小売市場は130兆円あると言われています。オンラインでの取り扱いはそのわずか5%にすぎません。伸び代はまだまだあります」

売上アップのためにシステム面で注力しているのが、ユーザーの閲覧履歴や購入履歴に基づいて商品を提案するレコメンド機能や、リターゲティング広告の精度向上だという。 「例えば掃除機を買われた方に、また掃除機をお勧めする…というのではなく、例えば専用ゴミパックを提案できるよう、精度の向上につとめています。システムエンジニアもかなりの増員を行いました」

「ECビジネスの最新事例から学ぶ!デジタルマーケティング戦略セミナー」の参加申し込みはこちら(参加費無料、2月24日(火)開催、東京都千代田区、開場13:30~)

オンラインショップは、実店舗に近づいていく?

今後、レコメンド機能や検索にまつわるテクノロジーが進化すれば、最終的には商品を探さなくてもいい時代が来ると畑中氏は語る。 「お客様の好みやセンスにぴったりの服がレコメンドされるようになったり、ウォーターサーバ用の水のように、お客様が定期的に購入されているものについては、自動的にオーダーが入るようになったり、『欲しい』と思うものが的確に表示されるようになってくるでしょう。いかに"さりげなく"商品をプッシュできるかが、これからのEコマースの課題になるかもしれません」

一方で畑中氏は、行動データの分析だけに頼ったビジネスは、無味乾燥なものになりかねないという見解も示す。 「モノを売る仕事の喜びというのは、相手の求めていることを考え、それを提供できたときに『ありがとう』と言ってもらうこと、そこに根本があると考えています。テクノロジーの進化によって、間違った品をレコメンドしなくなるのは確かですが、そこには人と人との触れあいという要素はありません。Eコマースを"つまらないもの"にしないためには、デバイス画面を通してのやりとりの中に、なにがしかの温かみをプラスしていくことが必要になるのではないかと思います」

Yahoo!ショッピングに登録しているストアでも、売上の好調なところに共通するのは、テンプレートによる対応をするのではなく、購入してくれた人のことを想像し、使用方法の説明や使い心地の確認など、丁寧にコミュニケーションをとっていることだという。また、以前、売り手と買い手がチャットできるシステムのトライアルを行ったところ、コンバージョンが高まるということも分かったという。 「デジタルでのやりとりの中にも、"血の通った"コミュニケーションをとっていくことは重要になっていくでしょう」

TIS株式会社 産業事業本部 東日本産業事業部 ストラテジックソリューション営業部 シニアエキスパート
秋野隆氏

実店舗で顧客が体験すること、感じることを、デバイスを通していかに再現できるか、感じてもらえるかというのも、Eコマースが発展する重要な要素なのかもしれない。

2月に行われるセミナーの基調講演では、日本市場が今後、どのように変化していくか、ヤフーがそれにどう対応し、Eコマースの活性化を図ろうとしているかなどが、畑中氏から具体的に語られる予定となっている。既に大きなビジネスを展開している企業にとっても、これからEコマースの拡充に踏み出そうとしている企業にとっても、大いに参考にできるものとなるはずだ。

また、ECやWEBサイトの営業と実店舗、広告など、顧客との接点をフル活用したオムニチャネル型マーケティングについては、その分野のソリューションを提供しているTISの秋野隆氏が語ることになっている。こちらもぜひご期待いただきたい。

同セミナーの詳細は以下の通りとなっている。

  • タイトル:ECビジネスの最新事例から学ぶ!デジタルマーケティング戦略セミナー
  • 開催日程:2015年2月24日(火) 14:00(開場 13:30)~16:40
  • 定員:100名
  • 申し込み締切:2015年2月23日(月) 18:00
  • 参加費:無料
  • 開催会場:パレスサイドビル 東コア2F マイナビルームS
    〒100-0003 東京都千代田区一ツ橋1-1-1
  • 主催:株式会社マイナビ マイナビニュースセミナー運営事務局
  • 協賛:TIS株式会社

「経営に活かす! 戦略的なITコストマネジメントとは!?」の参加申し込みはこちら(参加費無料、2月24日(火)開催、東京都千代田区、開場13:30~)