エンタープライズ向けにビデオ配信基盤を提供するクムジャパンは2月6日、都内で記者発表を行い、日本をハブにして、国内およびアジアで本格的にビジネスを展開していくと発表した。当面、国内ICT企業とのパートナーシップを強化していくという。
米Qumu(クム)はこれまで、米国、インド、英国に拠点を設けてきたが、日本には、Fortune500に入るようなグローバル企業も多く、市場性があることから日本に拠点を設け、 日本市場の開拓とともに、アジア進出を加速するという。
米Qumuは2000年に設立したが、2006年にGoogleのYouTube買収を機に、企業におけるビデオ配信プラットフォームに注力してきた。
米Qumu 社長のヴァーン・ハンズリック(Vern Hanzlik)氏は、「コンシューマー市場において、ビデオは日常生活のなかに浸透しており、それがビジネス市場を押し上げている。ビデオはビジネスにおける新しいドキュメントだ」と語った。
ビデオに関して同社の提供する機能は、編集、管理、配信の3つ。編集では、切り取り、トリミングなどの簡単なビデオ編集ができるほか、PCでの操作をキャプチャし、PowerPointのスライドを挟み込みながらのビデオ作成ができる。
管理の面では、ActiveDirectoryのほか、LDAP/SAML連携も可能で、所属や権限ごとにチャンネルを作成し、ユーザー別の配信を可能にする。
配信では、接続している回線やデバイスに応じたビデオの最適化も行える。
特徴な機能としては、配信中にポップアップで投票を実施したり、視聴者からの質問を受けたり、誰が何回見たかといった統計情報を取ることも可能だという。さらに、音声検索機能を備えており、ビデオ音声の中の特定の言葉の場面を捜し出すこともできる。
また、既存の社内システムと連携できる点も大きな特徴だという。
プラットフォームとしては、オンプレミス、クラウド、ハイブリッドの3つがあり、ハイブリッドは、管理サーバはクラウド上におき、ビデオを社内のキャッシュサーバに配信し、それをLANを介して社内で閲覧させる方法。ただ、販売の中心はオンプレミスだ。用途としては、社長など幹部からのメッセージ、ライブイベント配信、セミナーなどを想定している。
同社では、資本金10億円以上のグローバル企業をターゲットにしており、国内大手ITプロバイダーによるパートナーを中心に販売していく予定。導入費用はユーザー数にもよるが、3,000万円~1億円程度で、国内では5,000万円程度が中心だという。
クムジャパン 代表取締役社長 兼 米国本社副社長 小山田佳裕氏は、コンシューマ向けではビデオ配信を行う企業はあるが、エンタープライズ向けでは競合する企業はないとした上で、2年後をめどに、日本の資本金10億円以上でグローバル化が進行した企業500社のうち、100社に導入する方針だと述べた。