日本オラクルは1月29日、高速データベース・マシン「Oracle Exadata Database Machine X5」の国内提供を開始した。同製品は、同社の6世代目のデータベース・マシンとなる。ハードウェア最小構成の価格は2390万円から(税別)。
発表会では初めに、取締役 代表執行役社長 兼 CEOの杉原博茂氏が、「Oracle Exadata Database Machine」を含むエンジニアド・システムの最新動向について説明した。
同氏は、「近年、デジタル・ディスラプション(デジタル社会における破壊的なイノベーション)が起きており、日本にもその波は押し寄せている。そうした時代を生き抜くには、これまでとは異なる大きなことに取り組んでいく必要がある」と述べた。
同社は、デジタル・ディスラプションの時代においては、ますますクラウドの重要性が高まるととらえており、デジタル・ディスラプションを支える基盤としてエンジニアド・システムを位置づけている。
さらに同氏は、米OracleのCEOであるラリー・エリソン氏もこれまで説明してこなかったがと前置きしたうえで、「当社がサン・マイクロシステムズを買収して5年になるが、ソフトウェアの会社がソフトウェアを突き詰めた結果、ハードウェアと融合された。つまり、エンジニアド・システムはソフトウェアから設計されたハードウェアとなる」と、エンジニアド・システムの意義について説明した。
同社はこれからエンジニアド・システムに対し「スーパー・クラウド・システムズ」というカテゴリを付し、今回発表した「Oracle Exadata Database Machine X5」はそのフラッグシップ製品になる。「スーパー・クラウド・システムズ」は「今すぐ簡単に使えるシステム」をコンセプトとしているという。
新製品については、副社長執行役員 データベース事業統括 三澤智光氏が説明を行った。同氏は、新製品の特徴として「フラッシュ・ストレージの採用」「エラスティック構成への対応」「Oracle VMのサポート」「インメモリ・データベースへの対応」を挙げた。
これまで、Exadata Database Machineではキャッシュの用途としてフラッシュを採用していたが、Exadata X5ではすべてのデータベース・ファイルとデータベース・キャッシュでフラッシュを利用できるようになった。三澤氏は、「ストレージメーカーのフラッシュ・ストレージとの違いは、オラクルのフラッシュ・ストレージはデータベースの挙動を理解していること。われわれは、フラッシュ向けのExadataのソフトウェア機能に多大な投資を行っている」と、同社のフラッシュ・ストレージの特徴をアピールした。
また、ハードウェアの性能とコストパフォーマンスも向上しており、フルラックにオールフラッシュを搭載した時の標準価格が1億2000万円と、前世代のX4と同じであるのに対し、フラッシュの容量は44.8TBから179TBと約33倍に増えている。
続いて、同氏は「Exadata X5の真骨頂はソフトウェアの進化にある」として、ソフトウェア面における特徴について説明した。
その1つがインターコネクト技術「Exafusion」となる。Exafusionはデータベースの処理を高速化するため、データベースがInfiniBandに対応したハードウェアに直接アクセスすることを可能にする。
さらに、InfiniBandとOracle VMを併用することで、仮想ドライバのオーバーヘッドを抑えながら、上位のデータベース・レイヤを理解し、Exadataの機能をフルに利用することが実現される。
Exadata X5はインメモリ・データを他ノードに複製することができるため、ノードに障害が発生した際、複製データにフェイルオーバーすることで、ダウンタイムを最小限に食い止めることが可能。「競合のインメモリ・データベースはフォルト・トレラント機能を備えていない」と、三澤氏はそのアドバンテージを強調した。