Aras Japanは1月28日、2015年の事業戦略と「Aras Innovator」の新バージョンについて発表した。

Arasは設立15年目を迎えるPLMソフトウェアベンダーで、日本法人であるAras Japanは2012年5月に設立された。同社の大きな特徴は、SaaS型サブスクリプションモデルを採用し、ソフトウェアそのものにはライセンスフィーを設定せず、システムに関するサポートサービスを提供することによって収益を確保している点である。

同社のビジネスは好調で、グローバルでは8年連続2桁成長を記録し、2014年度はサブスクリプション売上が前年度比80%にも達した。日本では2014年末時点で90社のユーザーがおり、組立製造業Top50におけるシェアが20%、2012年以降の成長率は平均49%を記録した。2015年は国内ユーザーを150社、組立製造業Top50におけるシェアを30%、Aras Inovatorのユーザーを3万人(現在は約1.3万人)に増やすことを目標とする。

2015年の数値目標

コミュニケーションを活性化する「ビジュアルコラボレーション」

すさまじい勢いで成長を続けるArasが今回発表したのが「Aras Innovator 11」である。

この最新バージョンでは、プラットフォームにソーシャル機能を組み込むなど、専門分野を超えたコラボレーションを、PLMを経由して実現する「ビジュアルコラボレーション」の実現に重点が置かれた。部門間のコラボレーションの活性化することで、より素早く意思決定を行い、より迅速に問題を解決することができる。

ビジュアルコラボレーションの概要(左)と効果の例(右)

「Aras Innovator 11」の画面

コミュニケーションに重点を置く背景には、各部門で運用しているシステムがバラバラなため、他分野と密にコミュニケーションをとれず、PLMを導入しても生産効率がなかなか上がらないというユーザーの声がある。

「Aras Innovator 10」では様々な端末を通してPLMの情報にアクセスできるようにするなど、同社はここ数年、「コラボレーション」の実現に取り組んできた。今回、「Aras Innovator 11」と同時に発表されたモバイル端末向けアプリ「Aras Flow」はその流れを汲むものだ。

同アプリは会議の場や外出先でもモバイル端末からPLMの機能へアクセスすることを可能とする。つまり、仕事のスタイルによって使う端末の種類を変えながらも、共通プラットフォーム上の情報へのアクセスし、コミュニケーションをとることができる。

同社は「ビジュアルコラボレーション」によって、コミュニケーションを活性化することで新しい開発環境の構築が可能となるとしており、Aras Japanの久次昌彦 社長は「今後もユーザーの声を取り入れたコミュニティドリブンのソリューションを提供していく」と語った。

久次昌彦 社長