楽天が1月15日に開催した「楽天新春カンファレンス」。出店店舗を対象としたカンファレンスだが、代表取締役社長 兼 社長 三木谷 浩史氏が登壇し、オーナーなどに「BEYOND」と題した"楽天のこれから"を語った。
インターネット革命はIoTの時代へ
三木谷氏は冒頭、インターネットの存在を第1次産業革命、第2次産業革命に続く「あらゆるもののあり方を変える革命」と説明。
半導体が18ヶ月で2倍の性能となるムーアの法則も引き合いに出した上で、「我々の流通総額も初年度から17年で18万倍とムーアの法則を超えるスピードで成長してきた。インターネット革命はショッピングを初め、国家を含めて、全てのものを再定義した」と語る。
楽天市場の流通総額は5兆2490億円(2013年)となっており、インターネットなくして、この巨大な"市場"が成立しなかったことは確かだろう。
ただ、三木谷氏はネット上の市場にとどまらず、更なる波が来ると言う。それが「IoT」だ。
IoTは「モノのインターネット(Internet of Things)」と呼ばれており、これまでのインターネットは「ディスプレイが付いているもの」にだけ繋がる存在であった。それが「動くものが全てインターネットに繋がる時代」(三木谷氏)になるとしてその未来へ一歩ずつ近付いている状況を説いた。
三木谷氏は、Googleに昨年買収されたNESTのスマートサーモスタットを米国の自宅で実際に利用していると話し、「極めて便利。何時に起きるから何度の設定にしようということを勝手にやってくれるし、家に帰ってくるときも勝手に暖かくしてくれる」とその利便性を強調。自動車などもインターネットに繋がることで、かつてのSFで表現されていた世界がすでに現実のものとなりつつあるとした。
IoTと楽天の接点は
では、こうした話が楽天にどう繋がるのか。
「"楽天ちゃん"に『お腹がすいたから、何か届けて』と話しかければ、食事が届くということが5年で実現できるのではないか。生活様式がすべて変わっていく」(三木谷氏)
つまり、楽天市場の強力な商品ラインナップ、多様な店舗が、"IoT"を通してすぐに楽天ユーザーと繋がる世界になる、それも5年のうちにということだ。これは、末端にあるデバイスの進化とWi-Fiや携帯網などネットワークの進化、そしてそれらを通してやりとりされるデータの蓄積と分析、「ビッグデータ」も鍵となってくるとした。
もちろん近未来の話だけではなく、現在進行形で「楽天経済圏」の拡大を進めている。楽天ポイントがその一例で、オンラインだけではなく、オフラインの店舗との提携やクレジットカードの活用により、楽天を利用する動機付けへと繋げていく。
「オンラインの商圏をオフラインへと広げる。例えば、店頭で商品をお届けする形でもいいし、オンラインで買ってもいい。近くの店にこういう商品があるとレコメンドするようにすれば、常に楽天トップで検索してもらえる。ほかにも、国内30箇所の郵便局からロッカーを設置する。受け取りの効率化を図り、ネットワーク型配送を実現する」
最後に三木谷氏は「未来は今の延長線上にないかもしれない」と予測する未来が異なる可能性を指摘した上で、「どう世の中が変わるのか、二人三脚で皆さんと進んで見ていきたい」とオーナーなどに語りかけた。