ヤマト運輸は1月22日、2015年3月31日の受付分をもち、クロネコメール便のサービスを廃止することを決定したと発表した。
理由は「信書」。
2003年に総務省が「信書に該当する文書に関する指針」を告示。同一文書でありながら輸送の段階で「信書」の場合と「非信書」の場合があるなど、「信書」の定義が極めて曖昧となっており、特に個人向けの書類については、総務省の窓口に問い合わせても「信書か否か」を答えてもらえないケースが多発したという。
このように、「信書」の定義が分かりにくいにも関わらず、信書をメール便で送ると、荷物を預かった運送事業者だけでなく、送った顧客も罰せられることが法律に定められている。
2009年7月以降、同社のクロネコメール便を利用して顧客が信書にあたる文書を送り、郵便法違反容疑で書類送検、もしくは警察から事情聴取されたケースは計8件にのぼる。
同社はこうした事態を重く受け止め、顧客がクロネコメール便で信書に該当する文書を送り、罰せられてしまうことがないよう、荷受けを厳格化し、注意喚起をはかってきた。
しかし、これまでの経緯を踏まえ、「法違反の認識がない顧客が容疑者になるリスクをこれ以上放置することは、企業姿勢と社会的責任に反するものであり、このままの状況では、顧客にとっての『安全で安心なサービスの利用環境』と『利便性』を努力だけで持続的に両立することは困難である」と同社は判断。クロネコメール便のサービスを廃止する決断に至った。
代替サービスとして、法人の顧客には、事前に内容物の種類を確認できるカタログ、パンフレットなどの「非信書」に限定し、運賃体系も見直した上で、2015年4月1日より「クロネコDM便」と名称を変更し、サービスを継続する。
また「小さな荷物」のやりとりにクロネコメール便を利用する個人、法人向けには、同じく4月1日より、「小さな荷物」を安心で手軽に利用できる宅急便のサービスを拡充する。