成果を上げるために残業して仕事の時間を増やすことは一見、理にかなっているように見える。その一方で、生産性を上げるためには、デスクにかじりつくだけではなかなか成し遂げることはできない。
そこで、The Next Webの記事「フィットネスアプリとウェアラブルを活用して職場の業務パフォーマンスをアップする(原題:How fitness apps and wearables can impact your performance at work)」が職場外における生産性向上への取り組みを紹介している。運動と睡眠をバランス良くこなすことで、仕事がはかどるかもしれないというのだ。
記事によると、アメリカ人はエクササイズの時間と睡眠時間が共に不十分であることに加え、労働時間がほかの先進国と比較して長いという。経済協力開発機構(OECD)の調査によると、米国だけではなく日本もドイツやフランスなどの欧州諸国と比較して労働時間が長い。それに加えて一人当たりGDPが米国に大きく劣っている現状がある。そのため、記事が指摘する生産性と運動、睡眠のバランスは、日本でも重要な課題と言っても良さそうだ。
記事では、このような現状を指摘しながら「生産性を最大限にするには、自分自身のケアとのバランスをとりつつ最大限の生産性で仕事をする時間を増やすことだ」とアドバイスしている。
Fitbitで体を動かす習慣を
Population Health Allianceの調査によると、エクササイズが「少ない」あるいは「しない」人と「生産性の低下」には相関関係があることがわかったという。裏を返せば、軽く体を動かすだけで、すぐにでも生産性に好影響が期待できるということになる。
近頃は「Fitbit」などのフィットネスアプリが人気を博し、AppleやGoogleもヘルスケアアプリの連携を意識し始めているが、こうしたアプリは激しい運動をいきなり始めるためにあるのではなく、少しずつ運動する習慣を付けるのに役立つ。
エクササイズの時間を設けていない人は、アプリから受け取るリマインダーにより「少しずつ体を動かすことを日常にとりこめる」としている。ポイントは、すぐに成果を感じられること。これにより、モチベーションを維持できる。
活動的なライフスタイルを取り込む
ジョージタウン大学の調査によると、1週間で2時間30分の運動をするだけで生産性が大きく改善するという。これは1日あたりで言えば20分ちょっと。こう聞くと簡単に思えるが、なんといっても習慣にすることが大切。生産性をアップさせたいのなら、一貫してやり続ける必要があるという。
フィットネスアプリであれば運動した時間を勝手に測定してくれるものもある。それだけではなく、毎日20分体を動かすように半強制的にプログラムすることもできる。これなら、「仕事に追われて忘れてしまった」ということもなくせそうだ。
十分な睡眠をとって集中力をアップ
運動の次は睡眠。睡眠が集中力に重要であることは改めて言う必要もないだろう。しかしながら、日本人は世界的に見ても睡眠時間が短いといわれており、運動と共に課題と言えそうだ。ただ、ここでもフィットネスアプリが役に立つ。多くのフィットネスアプリがデバイスを装着したまま寝るだけで睡眠時間を記録してくれるのだ。
先ほども挙げたFitbitアプリが睡眠効率も計算してくれるため、自分の睡眠が十分かどうかも確認できる。運動と同様に、睡眠も習慣にすることが効率化アップへの最短ルート。さらには、運動が増えると睡眠の質もアップするケースが多く、相乗効果も期待できるという。
睡眠と運動の意外なメリットとは?
運動と睡眠を習慣化できれば、体や精神の変化に気がつくはず。記事では効率化アップ以外に、運動と睡眠が適度な状態の人はそうではない人と比べてコラボレーションや共同作業に適した心身状態にあるとのこと。
睡眠が十分ではない学生は、チームメートにいらいらする比率が高いという。
つまり、十分な睡眠は相手に寛容になる度合いが強くなるという効果があるようだ。組織に所属しているなら避けられない共同作業が苦手という人の解決の鍵は、運動と睡眠にあるのかもしれない。