2015年の年頭にあたり、デル株式会社 代表取締役社長 郡 信一郎氏は、以下の年頭所感を発表した。

謹んで新年のご挨拶を申し上げます

昨年は米国デル創業30周年、株式非公開化1周年という大きな節目の年でした。特に株式非公開企業としては、これまで以上にIT環境の変化を見据えながら、中・長期的な視点でお客様の成功に貢献していけるよう社員一丸となって邁進した年でもありました。その結果、実際に大きな成果を挙げたこととして、世界的大手IT調査機関による2014年前半世界におけるPC市場全体の成長率が4.3%であったのに対して、当社は19.7%という大幅な成長を達成しました。また、ストレージ市場でも当社は430万テラバイトを出荷し、総ストレージ出荷容量で世界第1位を獲得。成長率も競合他社を圧倒する14.8%と、名実ともにNo.1ストレージベンダーとなりました。更には、サーバ分野で北米やアジア太平洋及び日本地域で第1位、ソフトウェア分野で2桁成長を遂げたこと等、当社が株式非公開化に踏み切ったことをきっかけに、ワールドワイドで着実な成長路線に大きく帆を切った1年でありました。

デル日本法人においては「ゲームチェンジ」を合言葉に、基幹システム、クラウドの導入支援からパソコン・モバイル端末まで、企業活動に欠かすことのできないITソリューションを全て取り揃え、それらをシームレスに統合し提供する総合IT企業を目指した1年でした。昨年発表したソリューションとしては、当社の基幹製品である第13世代PowerEdgeサーバを刷新したことに加え、当社の目指す方向性を具現化した次世代コンバージドアーキテクチャ「Dell PowerEdge FX」の提供を開始しました。Dell PowerEdge FXは当社がこれまでに180億ドル(約2兆円)を投資し買収したストレージやネットワーク製品、ソフトウェアを組み合わせることで実現できたコンバージドソリューションです。競合他社と比較した場合、ブレードサーバのCPU性能比で130%増、マルチノードサーバのストレージ搭載容量で50%増、ケーブル数は1/8に削減、最大20台のシャーシを一元管理できる統合管理機能等、全ての面で優れた能力を発揮します。ストレージの分野においては、従来まで高価格ソリューションとして位置づけられていたオールフラッシュストレージ普及のため、ディスク構成並みの価格で提供する「Dell? Storage SC4020」を発表しました。自社調べによると、競合他社と比べて最大76%のコスト削減に貢献、自動階層化機能とHDDとSSDのハイブリット構成という選択肢により、ソフトとハードのいずれにもデータ運用の効率化を実現しています。

クライアントビジネスでは、中小・中堅規模法人向けデスクトップ市場で15四半期連続シェア第1位を獲得しました。特に中小規模法人市場においては、2012年第2四半期に販売台数シェア17.8%だったものが、2012年第4四半期以降20%台を突破。2014年第2四半期は38.4%と高いシェアを獲得しました。シェア拡大の動きは、中小規模法人向けのワークステーション、サーバにおいても、デスクトップPC同様に当社がトップシェアを獲得しました。また、新しい取り組みとしては、コンシューマゲーム市場で絶大な人気を誇るAlienwareから新時代のコンソールゲーム機「Alienware Alpha」を発表し、大きな話題となりました。本年早々には海外でも反響の高い世界最薄クラスで3Dカメラを搭載した「Venue 8 7000シリーズ」タブレットの発表も予定されています。今後はさらに洗練されたモビリティ製品の拡充を図り、直販だけでなく、パートナーの皆様のご尽力をいただきながら販売を強化してまいります。

昨今、国内のIT環境に目を向けると、企業におけるIT投資額は、2014年は微増にとどまる見込みで、2015年も引き続き低成長で推移すると予測されています。その中で国内企業は、限られたIT投資のほとんどを既存システムの運用や管理といった「守りのIT投資」に費やしており、企業の収益に直接貢献するような戦略的な「攻めのIT投資」を実施している企業が少ないのが実状です。ITの本来の目的は経営を支援することにあります。ITを経営に生かすためには、より効率良くITを運用しなければコスト削減の目標を満たせませんし、非効率なITシステムは経営の重荷に繋がります。このような課題を解決する技術として「Software-Defined - 自動化技術」があります。当社は、日本における「Software-Defined No.1」IT企業として、経営に生かすITとして注目されている「クラウド」「ビッグデータ」「モバイル」「セキュリティ」の4つを注力分野に位置付け、非効率なIT運用をソフトウェアで自動化し、貴重な組織のリソースを経営により近いところで活用頂けるIT環境の構築に取り組んでいます。例えば、2世代前のPowerEdgeサーバからソフトウェアによる複数サーバの管理・運用、Fluid Dataアーキテクチャによる階層化の自動化、Compellentによるストレージの仮想化、Dell Networking によるSDN提案を他社に先駆けて実施してきました。そして、これらの自動化技術製品群は多くのお客様の導入実績につながっています。

今後更にITインフラはハードウェアがシステムを定める形から、ソフトウェアがシステムを定める形へと加速的に移行していくと予想されています。当社が自社開発したサーバ、ストレージ、ネットワークといったハードウェアソリューションには、IT運用・管理の自動化を実現する管理機能を実装していることに加え「Software-Defined - 自動化技術」分野で秀でたソリューションを持つソフトウェアベンダーとの協業も開始しています。デルサーバとNexentaソフトウェアを組み合わせた「DELL-Nexentaアプライアンス」、Nutanixソフトウェアを搭載したWebスケールコンバージドソリューション「Dell XCシリーズ」をすでに提供しています。更に、VMware環境向けに設計したハイパーコンバージドインフラストラクチャ「Dell Engineered Solutions for VMware EVO:RAIL」の発表も予定しております。これまで以上にパートナーとの協業に力を入れていくと共に、当社の強みでもある「Software-Defined - 自動化技術」を積極的に展開していきます。

そして、当社にとって最大のゲームチェンジとなったのが、パートナービジネスの本格化です。当社ではここ数年、グローバルでパートナービジネスの強化を進めています。日本でも専門組織であるグローバル・コマーシャル・チャネル統括本部(GCC)を中心にパートナービジネスを展開してきましたが、昨年8月にこれを吸収する形で新たに「パートナー事業本部」を立ち上げました。専任の執行役員が就任、人員を2倍に増強、そして直接販売の営業部隊が担当していた数万社のお客様を今後数年かけてパートナー事業本部に移管し、更なる販路拡大を図っていきたいと考えています。本年もパートナービジネスの取組を加速させ、お客様のビジネスに貢献する新たなサービスの充実を目指します。 2015年も引き続き変革を続けていく所存でございます。社会の変化を新たな挑戦の好機として捉え、全社員が一丸となってお客様により良いサービスを提供することに全力で邁進してまいります。ご支援ご鞭撻の程、宜しくお願い申し上げます。