アイレップ SEM総合研究所(SEM総研)は12月25日、「2014年の検索エンジンマーケティング(SEM)業界における10大ニュース」を発表した。

EU司法裁判所による「忘れられる権利」判決

EU司法裁判所は5月、検索エンジン事業者に対し、現状に照らし合わせて不正確な情報を検索結果のリストから削除することを命じる「忘れられる権利(Rightto beForgotten)」を認める判決を下した。同決定を受けてGoogleやBingは、EU域内居住者からのリンク削除申請の受付を開始し、検索エンジンと表現の自由、プライバシー、知る権利、公共の利益を巡る議論が欧米で盛んとなった。

日本においても、Yahoo! JAPANが11月、「検索結果とプライバシーに関する有識者会議」の設置を発表している。

欧州ニュースメディアとGoogleの著作権巡る攻防

ドイツでは出版社加盟団体が、Googleニュース検索結果に記事の抜粋を表示するならば利用料を支払うようGoogleに要請したことに対し、Googleは見出し(タイトル)以外を検索結果に表示しないよう仕様を変更したという。

スペインでは、2015年1月から施行される新法で利用料支払いが義務づけられることに対し、同社は、Googleニューススペイン版の閉鎖を発表した。

Google 、HTTPS(暗号化)の有無をランキングシグナルに採用すると発表

Googleが公式に発表するオーガニック検索絡みの話題において注目を集めたのが、SSLによる暗号化の有無を順位決定の参考にする手がかりの1つとして採用すると発表したこと。

同時に「現状ではほとんど順位に影響しない」と同社社員が発表するなど、SEO絡みで話だけが先行してしまった様子もあるともの、インターネットのトレンドと照らし合わせれば長期的には重要となってくる可能性もあり、動向はきちんと追っていくことが望ましいという。

Googleスマホ版検索におけるユーザーエクスペリエンス(UX)の扱い

スマートフォンからの検索において、閲覧に支障のある技術を利用する場合、スニペット欄にその旨を通知できるほか、快適に閲覧できると判断されたページには「スマホ対応(Mobile-Friendly)」の一言が表示されるようになった。基本的なランキングアルゴリズムは同じだが、モバイル特有のシグナルに応じて検索順位を調整する仕様は、2015年以降も登場してくることが予想されるという。

ペンギン、パンダ、ペイデイローン、順位変動が話題となった1年

ペンギンやパンダ、ペイデイローンと、検索アルゴリズムの変更・更新は2014年も話題に。同時に、公式アップデートのほか、背景不明の日常的なオーガニック検索順位の変動もあったという。

SEM総研では、アイレップが毎月公開する観測データを集計したところ、一定値以上の変動が発生した回数は、2013年比で大差ないものの、SEO担当者が業務上監視している範囲では、忙しい1年だったのではないかと推測する。

Google Authorship中止、Google+の将来は?

Googleは8月、著作者の顔写真をオーガニック検索結果のスニペット欄横に表示する「Authorship(オーサーシップ)機能」の提供中止を発表。Google+責任者の退社や、Gmailアカウント作成時にGoogle+との連携がデフォルトではなくなるなど、Google+は今後、どういった位置づけで成長させていくつもりなのかが話題となったという。

SEO周りでコンテンツマーケティングが注目集めた年

Googleの検索アルゴリズム変更に伴うコンテンツ重視の流れや、外部リンクの獲得~オンラインレピュテーション(評判)構築への流れにおけるコンテンツの位置づけの重要性向上など複数の要因が重なったため、SEO業界でもコンテンツマーケティングへの注目が一段と高まった。

アプリプロモーション支援機能の拡大

アプリ内のユーザー行動を計測するテクノロジーや、TrueViewインストリーム広告等におけるアプリインストールのレコメンド型広告、インストールされたアプリ種類別のターゲティングなど、スマートフォン向けアプリのプロモーションを支援するさまざまなプロダクトが誕生した。

フィーチャーフォン向けの検索連動型広告が相次いで終了

Yahoo! JAPANの「スポンサードサーチ」モバイル向けサービスや、Google AdWordsモバイル広告のEZweb、ドコモiMenu向け配信など、ガラケー向けの検索連動型広告の終了が相次いで発表された。

広告「自動化」の加速

Googleディスプレイネットワーク(GDN)におけるイメージ広告の自動リサイズによる配信や、同テキスト広告において業種に応じた画像の自動表示、広告表示オプションの自動適用など、広告運用における自動化機能が目立った年となった。