米IBMは12月22日、同日午前8時(日本時間)に、「SoftLayer 東京データセンター」をオープンしたと発表した。これは、グローバルなクラウド展開の拡大に向けたIBMの12億ドルの投資の一環で、「SoftLayer 東京データセンター」は、アジア太平洋地域の各都市(シンガポール、香港、メルボルン)に配置されたSoftLayerのデータセンターを補完するもの。

なお、「SoftLayer 東京データセンター」に新規で注文した顧客は、最初の注文の最初の1カ月のサービスにおいて、最大$500の割引が受けられる。

日本IBM 執行役員 クラウド事業統括 小池裕幸氏

日本IBM 執行役員 クラウド事業統括 小池裕幸氏は、12月22日の11時から行われた記者発表において、「SoftLayer 東京データセンターは本日8時からオープンし、すでに多くのお客様から申し込みをいただいている。サーバ数は15,000台で、年内にメキシコとフランクフルトをオープンする予定だ。これにより、世界の主要都市にデータセンターを置くことができるので、お客様のビジネスを支援していきたい」と述べた。

小池氏は、国内にデータセンターが必要な理由として、「データを国内に保持する必要がある企業がある」、「ハイブリッドクラウドに対応するために近くに拠点が必要」、「日本語による対応」の3つを挙げた。

東京データセンターを望む声

データを国内で保持する必要性については、とくに金融、医療業界でのニーズが高いという。サポート自体は24時間365日稼働だが、日本語での対応は9:00-17:00までとなっている。サポート料金は無料で、無料サポートはSoftLayerの大きな特徴なので、今後も継続していく予定だという。

東京データセンターオープン関連施策

関連プロファイルの追加

日本語でのサポート

東京データセンターは、すでに東京都、ホンダ、マツダ、PLUS、リコー、筑波銀行、金沢工業大学などが利用することが決定している。

東京データセンターを利用予定の企業

小池氏は「SoftLayer 東京データセンター」の特徴について、「一番の特徴は企業のために特化したクラウドである点だ。具体的には、スピードとセキュリティに優れたベアメタル・クラウドに対応し、管理の自動化と透明性を実現している。管理の自動化と透明性については、それを実現するAPIを用意しているので自社で行うのと同様に管理できる。また、グローバル・データセンターネットワークで、バックアップ、データの同期を取るのに十分な帯域を確保しているのもポイントだ。これは、グローバル企業にとっては非常に重要だ。SoftLayerのパートナーは現在160社だが、今後は既存のIBMのパートナー5,000社とともに、SoftLayerのビジネスを加速していく」と述べた。

東京データセンターの特徴

パートナーであるエス・アンド・アイ 代表取締役社長 藤本司郎氏は、「我々はSI企業だが、 東京データセンターはエンタープライズに向いたクラウドだと実感し、『S&Iクラウド・マネージドサービス for SoftLayer』という新たなサービスを発表した。お客様では東京都の環境局様がSoftLayerに移行する予定で、Windows上のアプリケーションを平成32年まで稼働する予定だ。今後は、(東京データセンターを)SIのメニューの1つとして販売していきたい」と述べたほか、同じくパートナーのクリエーションライン 代表取締役社長 安田忠弘氏は「我々はSETTAというサービスを提供し、x86サーバをWeb経由で注文していたユーザーに販売していく。また、IBMのパートナー様にOEMとして販売していただく予定だ」と語った。

他のパートナーでは、ニスコム 常務執行役員 三石剛史氏は「我々のお客様は製造業(自動車)が多いが、お客様はベアメタルへの対応や国内にあるデータセンターを望んでいる。今後は東京データセンターでHPCに向けたソリューションを提供していくが、年明けから自動車業界の企業が検証を始める予定だ」と語ったほか、パイオニアVC 代表取締役副社長 間下浩之氏は、「我々は、主にWebテレビ会議を製造業のお客様に提供しており、データの共有が得意な分野だ。そのため、世界中に張り巡らされたネットワークは魅力なので、グローバル企業のコミュニケーション基盤として活用していきたい。製造業のお客様はセキュリティに厳しいので、東京データセンターの開設によって、専用線をお客様のオンプレミス環境と結ぶことが可能になった。今後はすべてのお客様を移行していく予定だ」と述べた。

各パートナーの代表。左からクリエーションライン 代表取締役社長 安田忠弘氏、エス・アンド・アイ 代表取締役社長 藤本司郎氏、IBM 小池裕幸氏、パイオニアVC 代表取締役副社長 間下浩之氏、ニスコム 常務執行役員 三石剛史氏