STMicroelectronicsは12月16日、ARM Cortex-M4を搭載し、最高動作周波数180MHzで動作する32ビットマイコン「STM32F446」を発表した。

同製品は、強化された処理性能、256/512KBのコンパクトな内蔵フラッシュメモリ、128KBのRAM、メモリ拡張インタフェース、および強化された通信インタフェースを組み合わせており、新たな選択肢を提供する。

具体的には、浮動小数点ユニットとDSP機能を持つARM Cortex-M4コアは、独自のフラッシュアクセラレータであるART Accelerator、スマートアーキテクチャおよび先進的な90nmフラッシュメモリ技術の活用により進化した。その結果、内蔵フラッシュメモリから180MHzで実行した場合、225DMIPSおよび608CoreMarkというARM Cortex-M4コア搭載デバイスの中で最高の性能を実現している。

さらに、先進的なペリフェラルと、複数のインタフェースで効率的な同時通信をサポートする機能により、産業機器、医療機器およびIoT(Internet of Things)向けアプリケーションのスマート化やインタラクティブ化を加速させる。ペリフェラルには、カメラインタフェース、7個のI2Sオーディオインタフェース、CEC(Consumer Electronics Controller)、S/PDIFデジタルオーディオ接続、ディスプレイパラレルインタフェースなどが含まれている。そして、専用電源を持つUSBインタフェースは、コア全体の電源範囲が最小電圧1.7Vに低下しても連続動作が可能となっている。

また、フレキシブルメモリコントローラ(FMC)とデュアルクアッドSPI(QSPI)インタフェースを搭載しており、外付けメモリを使用したシームレスなシステム拡張が可能。90MHzで動作するFMCは、内蔵コントローラにより、外付けのSRAM、SDRAM、NOR/NANDフラッシュメモリ、もしくはLCDの制御を簡略化するとともに、性能向上に向けたメモリリマッピングモードに対応する。デュアルQSPIは、FMCから独立して動作し、最大2個の外付けNORフラッシュメモリ(SPI)へのSDRまたはDDRでの直接接続、メモリマップ接続を可能にする。

加えて、電圧をダイナミックにスケーリングする先進的な90nmプロセス技術から、広範なクロックゲーティングおよびSRAMを全て保持したままSTOPモードでの消費電流を50μAまで低減する柔軟な低電力モードなど、独自の低消費電力機能を搭載しており、消費電力が重要視される機器に適している。

この他、「STM32F446」を使用することにより、広範な「STM32」開発エコシステム、ピン配置、ソフトウェア互換性を持つ600品種以上の「STM32」マイコンにアクセスすることができる。開発エコシステムは、使用しやすいオープンソフトウェアプラットフォーム「STM32Cube」、拡張可能な開発ボード「STM32 Nucleo」、評価ボード「STM32 Discovery」で構成され、IAR EWARM、Keil MDK-ARM、GCCベースのIDEなど、一般的な統合開発環境で利用可能となっている。

なお、パッケージは、3.728mm×3.85mmサイズのWLCSP81から20mm角のLQFP144まで用意されている。現在、サンプル出荷中で、2015年第1四半期に量産を開始する予定。サンプル価格は、内蔵フラッシュメモリが256KB、SRAMが128KB、パッケージがLQFP64の「STM32F446RC」で約3.75ドルとなっている。

ARM Cortex-M4を搭載し、最高動作周波数180MHzで動作する32ビットマイコン「STM32F446」