ジュニパーネットワークスは17日、「Global Bandwidth Index」に関する調査結果を発表した。同調査は、世界9カ国のインターネット利用実態に関して実施。目的としては、職場や家庭での日常生活におけるモバイル接続を含めたインターネットの利用実態と、インターネット利用により将来的に何を成し遂げたいのかについて理解を深めるためとしている。
調査方法は、独立系の調査会社「Wakefield Research」によって、世界9カ国で5,500人の成人を対象に2014年6月に実施した(日本は500人)。対象サンプルは、高帯域幅のLTEネットワークが普及した先進国として、日本、オーストラリア、ドイツ、英国並びに米国。ネットワーク速度が先進国と比べて遅く、信頼性に欠ける傾向がある新興国として、ブラジル、中国、インド、並びに南アフリカとなっている。
それによると、新興国では、コネクテッド・デバイスを個人を成長・啓発するためのツールとしてとらえている傾向にあるが、先進国では利便性と効率性のためのツールとして活用していることがわかったという。
これは、先進国の消費者は日常の活動をより容易に遂行するためのツールとして考えているのに対し、新興国はインターネット接続によって得られる機能やサービスに対する強い期待が損なわれることはなく、消費者の生活が根本から良い方向へと変化するためだという。本調査によれば、新興国の消費者の97%がバンキング、地域情報の入手、娯楽、医療の受診まど、日常的に欠かせない活動をする方法がインターネット接続によって変化したと考えているという。
加えて、新興国でインターネットに接続されたデバイスを定期的に教育目的のために使用している人々は先進国より約2倍多い結果となった。 とくに、日本は教育用途と答えた回答者が9カ国中、6%と最も少なかったという。
教育目的については、先進国の教育環境がインターネットを利用しなくても、充実している点が関係しているという。
先進国では、コネクテッド・デバイスをネットバンキング(51%)、ネットショッピング(41%)、地域情報の検索(42%)のような日常的な活動のために使用している傾向が高く、とりわけ日本では、コネクテッド・デバイスを個人の利便性を向上するツールとして活用する傾向が最も高かった。とくに、日本はネットバンキングの利用が先進国で最も低く、これはセキュリティに対する懸念が強いためではないかと思われるという。
実際、日本におけるインターネット接続における問題・懸念点トップ3は、セキュリティ(36%)、回線のスピード(30%)、ネットワークの容量(18%)となっており、ジュニパーでは、日本のプロバイダはこれらのニーズに応えるべく、セキュリティの強化が必要だとしている。
インターネット接続に求められている機能や用途として、先進国では交通や天気に関するインテリジェント・プッシュ通知に関するニーズ、並びに新興国では他のスマートデバイスからの情報受信に関するニーズといった、両グループでより多くの機能が求められている結果となっている。
インターネット接続を提供するサービスプロバイダにとっては、パーソナライズ化や変化に対応できる柔軟なインフラといったものが求められている調査結果となっている。
なお、日本の調査結果については、日本におけるインターネットの利用用途トップ3は、 ネットショッピング(71%)、エンターテイメント(音楽、動画、ネットサーフィンなど)(41%)、地域情報の検索(天気、交通など)(48%)。
インターネット接続に求められている機能や用途トップ4は、ロケーションベースの増加(43%)、インテリジェットプッシュ通知(36%)、他のスマートデバイスからの情報受信(29%)、モバイル決済の選択肢の拡大(29%)。
日本において最も利用・検索されている地域情報は、天気(84%)、道路の渋滞情報(56%)、公共の交通機関に関する情報(51%)となっている。
接続満足度では日本は先進国で最下位で、インターネット接続の質と満足感が反比例する関係になっている。
ジュニパーネットワークス株式会社のマーケティング本部 本部長の近藤雅樹氏は、「当社の『Global Bandwidth Index』調査によって、インターネット接続が全世界の消費者のコミュニケーション、仕事、学習の仕方や遊び方に与える影響に関する興味深い洞察を得ることができました。日本のように先進的なテクノロジーを持つ社会でさえ、より良好なインターネット接続に対する需要が旺盛である反面、全世界の数億人の人々は依然としてインターネットに接続していません。インターネット・サービスプロバイダにとっては、生活を一変させるアプリケーションを提供する大きな機会がまだ残されていますが、インターネット接続が向上すればするほど、顧客がサービスの中断によって被る影響も重大になることを肝に銘じなければいけません」と述べている。