アクセンチュアは12月15日、12月1日付けで日本国内でASEANにおけるM&A専門家を増員したことに伴い、日本企業のASEANにおけるM&A支援に関する説明会を開催した。
アクセンチュア グローバルM&Aプラクティスは今年9月にASEAN拠点を設立し、日本オフィスは12月1日付けで、チームを数十名体制に強化した。
初めに、アクセンチュア 戦略コンサルティング本部 マネージング・ディレクターの清水新氏が、グローバル市場における日本企業の経営課題について説明を行った。
清水氏は、日本企業がここ20年にわたり、グローバルにおけるプレゼンスが低迷を続けているとして、欧米・韓国のハイパフォーマンス企業と日本企業の相違点を明らかにした。
同氏によると、ハイパフォーマンス企業が全社的に投資を行い、経営モデルをグローバルで統一しているのに対し、日本企業は事業ごとに市場を攻め、投資を行っているという。
一方、市場は、ソーシャルメディアやモバイル技術などのデジタルテクノロジーによって、既存の市場が破壊されるとともに新たな市場が形成されており、企業はそうした市場に対応していく必要がある。
そこで、同社としては、情報がいつも見える状態にしておくことで、組織内で共有化を図り、市場の変化を自社に取り込んで対応していくパワーをつけていくことを提言する。
同氏は「企業は存続をかけて変革を続けていかなければならない。それには、『見極める(変化を読む)力』と『磨き上げる(ビジネス・パフォーマンスの向上)を力』が必要。企業買収は企業変革の旅の1つの通過点」と語った。
日本企業のASEANにおけるM&A支援については、同社のアクセンチュア 戦略コンサルティング本部 M&Aプラクティス日本統括 マネージング・ディレクターの横瀧崇氏が説明した。
同氏はASEANにおけるM&Aが増えていながらも、企業価値を創造した割合は6割にとどまっていると指摘した。同社の分析によると、ASEANにおける企業買収学派妥当であり、買収が成功するかどうか、買収後の企業統合にかかっているという。
企業統合を成功に導くためのカギとしては、「買収後の企業価値を左右する2つのドライバーを見極めること」「グローバルマネジメントモデルを確立・導入すること」の2点が挙げられた。
企業価値を左右する2つのドライバーとは、「スピード」と「バリューアップ」になる。同社は、スピードドライバーについて、新会社として業務を開始する日を「Day1」として、それまでに実行すべき約400のタスクの中で最も時間がかかるタスクのうち、最短化できる要素としている。このスピードドライバーを最短化するために、策を講じていく。
バリューアップ・ドライバーとは目標を実現するためになくてはならない要素であり、Day1の時点でこの要素を失わずに、Day2(企業価値創出のタイミング)を拡大するための計画を実施する。
グローバルマネジメントモデルとしては、社員一人ひとりが企業の持続性を担保するための目標値(KPI)に沿って行動できる仕掛けを埋め込み、すべての社員が同じ数値を見て行動するようコントロールしていく。
同社は、日本企業のASEANにおけるM&Aが成功することを支援するため、5つのツールを提供する。