ON Semiconductorは12月9日、都内で会見を開き、同社の現状ならびに今後の事業方針の説明を行った。
登壇したのは、コーポレートストラテジ&マーケティング担当副社長のDavid Somo氏、システム・ソリューション・グループ 上席副社長兼ゼネラル・マネージャーのMamoon Rashid氏、イメージセンサ・グループ オートモーティブ担当プロダクトライン・マネージャーのNarayan Purohit氏、そして日本法人であるオン・セミコンダクターの代表取締役社長を務める雨宮隆久氏の4人。David Somo氏は、同社がMotoloraから独立した1999年当時と現在の製品ラインアップを比較し、「現在の製品は、従来のスタンダード製品だけでなく、マイコンやイメージセンサなど、幅広い製品を幅広い分野に提供できるようになった」とし、半導体企業ランキングにおいて、ファブレスベンダを除いたIDMとして、トップ10に入ることを長期的な目標としているとした(2013年のランキングでは同社はIDMとして13位)。
そんな同社は現在、5つの領域に注力しているという。中でもCypressのイメージセンサ部門の買収を皮切りに、Truesense Imaging、Aptina Imagingと立て続けに取得したCCD/CMOSイメージセンサ部門は車載向けで1位、産業機器向けで2位のポジションを確立しているとする。
また、旧三洋半導体部隊を中心に構成されるシステム・ソリューション・グループ(SSG)を率いるMamoon Rashid氏は、「現在のSSGは、日本と海外の顧客バランスが良く、売り上げの70%は海外となっており、適切な製品やマーケットにフォーカスしたことで黒字転換を果たした」とする。また、「日本国内の拠点(新潟、群馬、岐阜)、チームで高い技術力を発揮することでグローバルの顧客に対応することを可能とした」とし、2014年から同社新潟工場の6インチウェハラインにて、SSG以外のグループの製品の生産を開始したとする。
そんなSSGは、三洋半導体時代からの強みであったモータコントロールへの投資を強化しており、ON Semiconductorの持つミクスドシグナルやアナログ半導体技術、高度パッケージング技術などと組み合わせることで、顧客ニーズにマッチする新製品を提供することに成功しているとするほか、ワイヤレス機器ソリューションにも注力しており、2014年は前年比で売り上げの拡大を達成しているとする。
ON Semiconductorのモータコントロール戦略 |
高いパッケージング技術などと半導体技術を組み合わせることで実現されるIPM(Intelligent Power Module)は旧三洋半導体時代のものからさらなる進化を遂げた |
一方、今後の同社の成長ドライバ役として期待されるイメージセンサ・グループ(ISG) オートモーティブ担当プロダクトライン・マネージャーのNarayan Purohit氏は、「自動車の安全という観点からイメージセンサの導入が加速していく」とし、オートモーティブにフォーカスし、ポートフォリオを活用することで、監視/セキュリティ、産業スキャナ、民生、モバイル、IoTなどにも展開できる品質の製品が提供できるようになったとする。
中でもセキュリティはオートモーティブで求められる要件にかなり近い性能が要求されるとして、オートモーティブはもとより、そうした監視カメラ用途などでも求められる低照度性能を向上させた1080pセンサを近々市場に投入する計画であることを披露した。具体的には0.5lux以下の照明の中でも見えるカメラを実現するイメージセンサになるという。また、ハイダイナミックレンジ(HDR)についても、LEDのフリッカーノイズの軽減、特に自動車のLED照明のフリッカー対策が重要になるとの考えから、LEDフリッカ軽減処理を行うことで、よりはっきりと車体を認識することが可能になる次世代製品の開発を進めているとした。
0.5luxの暗さでも撮影が可能となる1080pイメージセンサを開発中だという |
自動車にもLED照明が搭載されるようになってきており、イメージセンサにはフリッカノイズの低減が求められるようになってきているという |
そして日本法人を率いる雨宮隆久氏は、2013年に開設した成田のグローバルディストリビューションセンターを拡充し、年間15~20億個を捌く体制を構築したこと、ならびに新潟工場のプロセスラインの対応製品の拡充、そして営業人員の再配置などを2014年に行ってきたことを説明。中でも営業の人員再配置については、将来的に提案型営業を強化していく必要性があるとの判断から、成長市場である車載関連や産業機器、医療機器などのセグメント別の営業部隊を立ち上げ、早い段階からの顧客ニーズの把握などを目指す体制を整えたとする。「セグメントごとにチームを編成し、専門性を持った人間を専任で置く。顧客のチャレンジ、課題解決が多岐にわたり、かつ深い領域に及ぶため、こうしたフォーメーションを作って、なるべく早く的確に進めたいというのが背景にある」と同氏はその意図を説明する。
また、拠点の1つである群馬では後工程を行ってきた経験を活かし、旧三洋半導体製品以外の製品についても1次解析のサポートができる体制を構築。今後、さらなる解析に向けた体制強化などを進めていくとした。
さらに同氏は、こうした取り組みから顧客がどのようなニーズを持ち、その解決に向けたソリューションが見えるようになったとのことで、デザインインは前年比で倍増し、新規案件も同70%増、新規製品の提案件数が同5倍と相当な成長を達成していることを強調。今後も、付加価値のある製品を顧客に提供していくこと、ならびに市場の変化に即した体制の構築の継続的実施、サポートレベルの向上などを図っていくことで市場成長率を上回る成長を達成していきたいとした。
加えて、「コミットメントとしては、顧客の価値を高め、継続して使ってもらえるようにしていく。さらに充実した製品、ソリューションの提供ならびにグループの設計能力、サポート能力の強化を図っていく。また、CSRや製造オペレーションの強化を行っていくほか、安心を届けるという意味で、カスタマクオリティについて顧客目線で、品質問題の解決のサポートを図っていく」とした。