ルネサス エレクトロニクスは12月11日、Advanced Low Power SRAM(Advanced LP SRAM)の新製品として、110nmプロセスを採用した8Mビット品「RMLV0816B/0808Bシリーズ」合計5品種を発表した。
Advanced LP SRAMは、メモリセルの記憶ノードにキャパシタを付加しているため、ソフトエラー耐性が高い構造になっている。一般的なソフトエラー対策としては、発生したソフトエラーをSRAMやユーザーシステム内部に組み込んだECC(Error Correcting Code)回路で訂正する方法があるが、ECCの性能によっては複数ビットのエラーを訂正できないなど、エラー訂正に限界が生じる。そこで、Advanced LPSRAMではソフトエラーの発生そのものを抑制する構造的対策を講じており、現在量産している150nmプロセスAdvanced LP SRAMのシステムソフトエラー評価結果からも、実質ソフトエラーフリーと言える耐性を確認しているという。
また、SRAMセルのロードトランジスタ(Pチャネル)をpoly-Si TFTで形成し、シリコン基板上に形成されたNチャネルMOSトランジスタの上層に積層されるため、下地のシリコン基板上にはNチャネルトランジスタのみで形成されている。これにより、メモリ領域内では寄生サイリスタ構造は存在せず、原理的にラッチアップが発生しない構造となっている。
これらのことからAdvanced LP SRAMは、一般的なメモリセル構造であるFull CMOSタイプの製品に比べて信頼性の高いSRAMとなっており、FA機器、計測器、スマートグリッド関連機器や交通システムなどの高い信頼性を必要とする機器のさらなる高性能化および高信頼性化に貢献することができる。さらに、Advanced LP SRAMは、SRAMのpoly-Si TFT積層技術とスタックトキャパシタ技術の融合で、セルサイズの小型化を実現しており、110nm Advanced LP SRAMのセルサイズは65nmプロセスによるFull CMOSタイプに匹敵するという。この他、25℃時のスタンバイ電流が2μAと低消費電力を実現しているため、バッテリなどでデータを保持する用途などに適している。
なお、サンプル価格はいずれも1040円。12月よりサンプル出荷を開始し、2015年1月から順次量産を開始する。今後、8Mビット品の積極的な拡販活動を行うとともに、110nmプロセスにより16Mビット品を追加しラインアップの強化を図っていくとしている。