パナソニック システムネットワークス システムソリューションズジャパンカンパニーは12月9日、太陽光発電所向けに初期導入のみならず、発電開始以降でも後付け可能な太陽光発電所向け無線型ストリング計測システムを発表した。12月より販売を開始する。

近年、太陽光発電所の普及が高まりつつあるが、メガソーラーにおけるパワーコンディショナ単位での管理は、太陽電池モジュール数が多くなり、万が一の不具合などの発見が遅れて発電ロスが発生したり、現場での点検工数の負荷が増大するといったことが課題となっている。同システムは、ストリング単位に絞りこむことが可能で、故障した太陽電池モジュールの早期特定、および影や雑草などの外的影響のスピーディな異常発見により、保守・メンテナンス作業の効率化に貢献する。

具体的には、無線方式のため新規設置はもちろん、後付け対応も可能。また、計測子機には太陽電池モジュールから電源を供給し、接続箱への収納や新たな電源工事が不要なため、取り付けが簡単である。さらに、各ストリング単位のデータは、計測子機から親機へ無線によるデータ収集により、太陽光発電所内への新たなケーブル敷設が不要で、施工コストダウンに貢献する。そして、使用するDECT無線は、グローバルスタンダードな無線通信方式であり、通信飛距離は見通しで約150mと広範囲をカバー可能な他、1.9GHz帯を採用し、他の無線機器の影響を受けにくく、電波干渉を軽減する。

また、同システムは約1年半にわたり、気候・温度・影などの各種環境変化を受けながら、フィールドで実証実験を実施した。これにより、パワーコンディショナのノイズ耐性の確認、および各種データを取得することで、多数の異常検知事例が確認済みとなっている。加えて、独自の異常検知アルゴリズムにより、誤報などが軽減され、効率的な運用が可能となっている。

この他、遠隔監視のためのネットワーク構築や、幅広いネットワークカメラのラインナップとクラウドサービスにより、太陽電池モジュールの状態や不正侵入者などを監視する安価なサービスを提供する。さらに、堅牢型タブレットの利用により、現場における巡視点検の効率化を実現している。

なお、同システムは、NTTファシリティーズの協力を得てF尾道太陽光発電所におけるさまざまな実証試験の結果、商品化に到ったという。ストリング計測器の製造はパナソニック デバイスSUNXが行うとしている。

システム構成例

時間経過とともにストリング単位での発電状況を色別に分かりやすくマップ表示

異常検知の履歴を一覧で表示し、監視業務効率の向上が図れる