SaaS/クラウド、オンプレミスの混在環境が当たり前となり、また社内に加えて社外からの業務アプリケーション利用も加速している。このようにアプリケーションのデリバリー元とデリバリー先が複雑に交錯しているのが現在の企業におけるITインフラ環境の特徴と言えるだろう。そしてこうした環境は新たな問題を生じさせている。それは、ますます速さが求められるビジネシーンの中で、いかに業務での利用に十分なパフォーマンスを維持できるかである。
WAN最適化ソリューションなどで知られるリバーベッドテクノロジーはこのほど、世界中の多くの企業が頭を悩ませるこれらの課題を解決するソリューションとして「Riverbed SteelHead 9.0」と「Riverbed SteelCentral AppResponse 9.5」を発表した。既存製品群の大幅アップグレードにより、企業の生産性向上により深く寄与できるようになったのはなぜか──その仕組みについて言及したい。
クラウドやモバイルの普及がもたらすアプリケーション・パフォーマンスの課題を解決
リバーベッドテクノロジーはWAN最適化ソリューションをはじめとしたITインフラのパフォーマンス企業として発展を遂げてきてきた。2002年の設立以来、これまでにグローバル25000社以上での導入実績を誇り、国内でもWAN高速化国内市場においてシェア7割以上を占めている。昨今ではWAN最適化のみならずアプリケーションやネットワークパフォーマンス可視化、アプリケーション・デリバリ・コントローラでも高い評価を得ており、ロケーション・インデペンデント・コンピューティング(=場所や距離にとらわれないコンピューティング)を提唱。アプリケーションパフォーマンスに特化した包括的なプラットホームを提供する企業へと変貌しつつある。
リバーベッドテクノロジーのマーケティングマネージャー、正木さや佳氏はこう語る。「いま企業のネットワークは、データセンターと拠点間、そしてクラウド/SaaSとの間を含めたハイブリットな環境が当たり前となっています。我々のミッションは、そうした“ハイブリッドネットワーク”を活用する“ハイブリッド企業”のあらゆるITリソースをコントロールすること──例えば、ネットワーク最適化を通じて距離と場所がもたらす遅延などの技術的な制約を解消することにあります。言い換えれば、ハイブリッド企業のアプリケーションパフォーマンスを向上することで、授業員の生産性を最大化し、競争優位に導く支援をしているのです」
同社の製品群は2013年5月に「Steelシリーズ」へと統一され、現在以下のようなラインナップで構成されている。
・「SteelCentral」 全体可視化ツール。ネットワークからアプリケーションまで製品群の統合管理を行う。
・「SteelScript」 オープンAPI。カスタマイズ可能な開発・管理者向けツール
・「SteelHead」 WAN最適化ツール
・「SteelFusion」 拠点インフラを集約するソリューション
・「SteelApp」 L7ソフトウェアアプリケーション・デリバリ・コントローラ
このうち今回新たに投入されたのは、SteelCentralとSteelHeadの新製品だ。
クラウド/SaaSのパフォーマンスまでを包括的に可視化して管理する
既にリバーベッドテクノロジーでは、クラウドの高速化ソリューションを日本企業にも提供している。アカマイのインテリジェントプラットフォーム上で動く「SteelHead SaaS」を用いることで、Office 365やセールスフォース・ドットコムなどSaaSとの通信の高速化を実現しているのである。
リバーベッドテクノロジーのリージョナルセールスマネージャー、伊藤信氏は次のように語る。「今回はもう一歩踏み込みました。SteelCentralは可視化も行うが管理という側面も強い。それをWAN最適化と組み合わせるとどうなるかという発想から、アプリケーション&ネットワークの可視化と管理、そしてWAN最適化がすべて統合された包括的なソリューションとして結果を出すことができたと考えています」 ある調査によると、従業員が複数の場所で働いている企業が62%に達しており、カフェや自宅でもネットワークを通じて仕事を行うことが一般化しているのがわかる。また自社やデータセンターの外に業務データを保有しているという企業も50%に及ぶ。
こうした利用実態からもわかるように、多くの企業においてSaaSやプライベートクラウドが混在したハイブリッドクラウドがもはや当たり前となりつつある。そしてハイブリッドクラウド間をつなぐMPLSやインターネットVPN、ユーザーからクラウドへのインターネット・アクセスなど、複数のアクセス手段を使い分けるハイブリッドネットワークが企業のネットワーク環境の主流となっているのだ。
「ハイブリッドクラウドやハイブリッドネットワークを活用するハイブリッドエンタープライズが今日の企業の実態だと捉えないと、ITインフラの高速化は語れない時代になったのです」と伊藤氏は強調する。
このようにクラウド活用が急速に普及してハイブリッドネットワークが構成されるようになったことで、ネットワークの障害がどこにあるかの追求が難しくなっている。しかしハイブリッドネットワークで提供されるアプリケーションは既に広範な業務で利用されているだけに、障害などによりパフォーマンスが低下すれば企業全体の生産性が低下することにもつながりかねない。
そこで今回発表された「Riverbed SteelHead 9.0」と「Riverbed SteelCentral AppResponse 9.5」は、これまでクラウド環境ではできなかったはずのネットワークの遅延に対する確約やネットワークのパスコントロール、ネットワークの帯域幅の確保、QoSサービスなどを可能にしたのである。
「ネットワークの可視化及びWANの高速化や制御をクラウド環境にも“持ってくる”のが今回のアップデートの趣旨なのです」(伊藤氏)
アップデートで実現した機能の1つが、ビジネス・インテント・ポリシー(ビジネス目的に応じたポリシー)に基いて、パスセレクション(QoP=Quality of Pass=経路選択)やQoS、セキュアトランスポートを構成・管理する機能だ。また、ハイブリッドクラウドの可視化の対象をWebやSaaSアプリケーションにまで広げることにより、WAN最適化と合わせてSaaSアプリケーションの可視化そしてSaaSアプリケーションのレスポンス・ステイタスまでを監視できるようになったのである。
「WAN最適化および可視化ソリューションとして、現在のところ世界中で最も包括的にカバーできる製品だと自負しています」と伊藤氏は言う。
アプリケーションベースの管理の自動化が可能に
リバーベッドテクノロジーのソリューションはこれまでにも多数のアプリケーションの自動判別が可能であったが、今回はこれをさらに発展させ1100以上に対応し、グルーピングすることに成功している。例えばVoiceアプリケーションであれば、Voice関連のプロトコルを1つにまとめて、そのポリシーを自分でカスタマイズし運用することが可能となったのだ。これが、今回新たな機能として加わったビジネス・インテント・ポリシーである。
さらに、パスセレクションはどういった経路(パス)でトラフィックを流せばいいのかを自動判別する。例えば、様々なキャリアのMPLSやインターネット網などでグローバルネットワークを構築している企業を想定しよう。世界中に設置されたSteelHeadからAppflowエンジンで情報を集めてSteelCentralで解析することで、どのようなパスが通信として可能なパスなのかを自動的に学習してSteelCentralがレポート。そして最適なパスを判断するとSteelHeadがパスセレクションによってそのパスによる制御を実行するのだ。
ちなみにAppflowとは、QoSやパスセレクションを実現するテクノロジーだ。Appflowエンジンによってアプリケーションの種類まで識別してコントロールが可能である。ビルドインで1100以上のアプリケーションを識別可能だが、カスタムでアプリケーションを追加することもできる。
またSaaSなどのパブリッククラウドではサービス/アプリケーションのモニタリングが難しく遅延の原因の判断が難しいが、Riverbed SteelHead 9.0と Riverbed SteelCentral AppResponse 9.5の連携によるハイブリッドクラウドの可視化が、この問題を解決している。
これらのソリューションは、SaaSにアクセスしている時のレスポンス速度を国ごとに可視化してグローバルビューと名付けられた画面などで一覧できるようになっている。そこでは「どのページが遅いのか」「いつ遅くなったのか」「誰の通信が遅いのか」がわかるだけでなく、すべてのHTTPトランザクションの中の各オブジェクトのレスポンスタイムまでを詳細に一覧できるようになっている。こうしてSaaSのパフォーマンスを可視化することで、ボトルネックがサーバー側にあるのかネットワーク側にあるのかといった問題の切り分けができるようになるのだ。そしてもしサーバーの問題であればSaaS事業者に問い合わせ、ネットワークの問題ならばネットワーク事業者への問い合わせやWAN高速化ソリューションを導入するなど、適切な対応が可能になるのである。
本来、業務で使うアプリケーションというのは、デリバリー元がどこであろうとも、そして利用する場所がどこであろうとも、あたかも同じビル内にサーバーが置かれているかのごとく快適に利用できなければならないはずだ。しかしながら、企業のネットワーク環境が将来的にさらに複雑化していくのは避けられないと言える。そうした状況にあってもビジネスに競争優位をもたらすITインフラを実現できるのがリバーベッドテクノロジーのソリューションだ。今後その注目度はますます高くなっていくことだろう。
リバーベッドテクノロジーの事例集
リバーベッドは、今回発表されたソリューションを含む最新事例集をPDFの形で提供しています。仏大手タイヤメーカーミシュラン。⾮営利組織として、多様な訓練コース、職業紹介サービス、⻘少年プログラムなどコミュニティの取り組みを提供するMTC Australia。企業や組織のインフラの高速化がいかに大きなメリットをもたらすか?興味のある方は是非ご覧下さい。
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