ソフトバンクとAltaeros Energiesは12月5日、ソフトバンクが700万米ドル(約8億4000万円)の出資を行うことで合意したと発表した。Altaerosの空中浮体式風力発電(BAT:Buoyant Airborne Turbine)技術の開発と商用化を支援する。
2010年にマサチューセッツ工科大学で設立されたAltaerosは、航空宇宙科学分野の技術を用いて風力発電設備をヘリウムガスで高所に浮上させて発電する技術を持っている。これにより、従来の風力発電設備で到達する高さよりも強く安定した風を受けられる。
約600m上空で行われるAltaerosのBAT技術による発電は、従来の同規模タワー型風力発電設備に比べて2倍を超える電力量を発電。BATの設備は標準的な輸送コンテナでの運搬が可能で、従来の風力発電に必要な建設機材の準備や大規模な基礎工事などが必要なく、発電ができる。
BATの柔軟な設置条件による設置数の増加は、主に離島地域やルーラル地域での発電コストの削減を可能にし、通信設備を搭載して空中滞留できるという。そのため、通信サービスで使用可能な基地局設備としての用途を兼ね備え、島しょ部や遠隔地、鉱山、石油や石炭の採掘場、農地、災害時の非常用電源、通信設備などでの幅広い活用が見込まれる。
ソフトバンクグループ代表の孫 正義氏は、「Altaerosによる空中浮体式風力発電技術は、高度100m~600mでの発電を行う新しい取り組みであり、日本ならびにアジア太平洋地域の離島やルーラル地域への自然エネルギーによる電力供給のソリューションとなることが期待される。また、通信技術や監視技術との組み合わせによる新規事業の創出にも期待している」とコメントしている。