日本マイクロソフトはこのほど、Surfaceに関する情報のアップデートを行った。Surface Pro 3が7月に発売されてからもうすぐ5カ月となるが、過去のSurfaceシリーズを上回る売れ行きを見せている。

スポーツ界でSurface人気?

その理由はなんといっても法人需要。日本国内だけで2500社がすでに採用を行っている。Surface Pro 3では、これまでのシリーズとは一線を画すハイスペック端末に仕上がっており、Webデザイナーやクリエイターなどの「モバイルプロフェッショナル」層にウケているという。

海外では、レアル・マドリードやNFLといったスポーツ界の採用が続々と決まっているほか(日本国内では横浜F・マリノスが採用)、航空業界でもデルタ航空やルフトハンザ航空などが導入している。

航空会社に電子機器を導入する場合、米連邦航空局や欧州航空安全機関の認定を受ける必要があるが、Surface Pro 3は「電子フライトバッグ」として認定。これまですべて紙利用にとどまっていた機長のフライトデータが全てタブレット上で管理できるようになったという。

国内でも、大手のみならず、地方自治体や農業協同組合(JA)などにも導入されている。

「農家の皆さんのもとに出向いて農薬管理などの情報収集を行う作業を、これまで聞き取り調査という形で行ってきた。専門知識も必要で人手が足りなく、今までは3~4カ月の期間を要していたが、調査を最適化し、知識がなくても情報を流れに沿って入力できる専用アプリを作った結果、1週間程度で作業が完了できるようになった」(日本マイクロソフト Windows本部 本部長 三上 智子氏)

タブレットとPCをひとまとめ

法人市場は、日本マイクロソフトにとって今が攻め時のようだ。タブレットデバイスの広がりは2010年頃のiPadリリースとともに始まったが、最初期に導入した企業がタブレットの更新を検討し始める時期に差し掛かっているのだという。

「企業はこれまでの経験から、タブレットに業務を一本化できず、結局タブレットとPCの二台持ちになっている現状を把握している。そこで、二台持たずとも一台に集約できるWindowsタブレット、Surfaceのメリットを訴求している。北國銀行さまの例では、デスクトップPCも含めた『タブレット、ノートPC、デスクトップPC』の一元化、3 in 1も行っている」(日本マイクロソフト ビジネスプラットフォーム統括本部 デバイス&モビリティ本部 本部長 榊原 洋氏)

日本マイクロソフト Windows本部 本部長 三上 智子氏

日本マイクロソフト ビジネスプラットフォーム統括本部 デバイス&モビリティ本部 本部長 榊原 洋氏

こうした状況に合わせて、法人向けに期間限定でハードウェアキーボードを兼ねる「タイプ カバー」と、拡張端子が多数用意されている「ドッキング ステーション」をセットで提供する期間限定のバンドルモデルを12月31日まで提供。また、マイクロソフト ファイナンシングが優遇金利で法人顧客の状況にあった支払いプランを提供する「リース金利優遇キャンペーン」も、同じく12月31日まで提供する予定だ。

ほかにも、法人向けの販売パートナーを拡大。認定リセラーは法人向けSurface提供開始以来、8社にとどまっていたが、これは法人販売市場の15%程度にしか過ぎないという。

そこで日本マイクロソフトはパートナーを10月より拡大し、11月16日時点で約700社まで増加した。この拡大は、主に地方案件に対する対応の強化や、特定業界・業種への対応強化を目的としたもので、これまで直接リーチできていなかったこの層で「3倍の売上を目指す」(三上氏)としている。

法人需要を取り込むためには細かいサポートも必要だが、マイクロソフトではOSなどのプレミアムサポート契約内でSurfaceのサポート対応を行っている。これにより、OSサポートとハードウェアの両面からマイクロソフトのサポートを一括で受けられるため「お客様から評価していただいている」(榊原氏)という。

また、プレミアムサポートでは3年目までのサポート対応という弱点がある。電子機器類の減価償却期間は4年で、導入企業・教育機関の運用も4年~5年程度となっている。そこで、販売会社経由などで、4年目、5年目までの延長サポート対応も受け付けた。プレミアムサポートでの対応についても「お客様からの要望は非常に多い」(三上氏)とのことで、顧客需要がどれほど伸びるかによっては延長サポートが提供される可能性もあるだろう。

キモは「12インチ」

マイクロソフトがここまで熱心に取り組む背景には、Surface Pro 3に対する高い需要があるからに他ならない。

「接客業の方にはPOSやサイネージといった様々な需要がある。特に気に入られているのが『12インチ』という大きさ。10インチでは小さく、それ以上だと持ち運びが大変になる。また、高齢化社会で高齢な方に評判が良かったりします(笑)」(榊原氏)

12インチというサイズは、2:3というアスペクト比とあわせてA4サイズの紙がそのままのサイズで投影できるというメリットもある。デジタイザーペンとの組み合わせでノート利用もデジタルデバイスでできるため、ユーザーからノートを捨てたという声も上がっているという。

「タイプ カバーは多彩なカラーバリエーションも用意しているため、企業カラーにあわせた色を選べる。その企業にあった新しいワークスタイルを実現してほしい」(榊原氏)