東芝メディカルシステムズは11月28日、MRI装置「Vantage Titan 3T」の新オプション「Saturn Gradient」を発表した。
同オプションにより、オープンボアでは困難だった傾斜磁場の安定した高出力化を実現した。また、最新ソフトウェア「M-Power V2.5」の搭載により、画質(Quality)、時間効率(Speed)、検査適応(Flexibility)をさらに高め、質の高い検査を提供するとしている。
具体的には、「Saturn Gradient」では、傾斜磁場出力の増加や大口径化に伴う、傾斜磁場コイルの"発熱"、"振動"、"送信効率"に着目。冷却機能を従来の2倍に増加させ、高負荷時の温度上昇を抑え中心周波数を一定に保つ。また、出力増加に伴い増大するローレンツ力を抑制する。さらに、高分解能撮像時でも安定した画像を得ることが可能となるだけでなく、撮像時の騒音も抑えた。加えて、新しいSAR低減技術を採用した。これにより、RF送信効率が高まりSARが大幅に低減するという。
そして、M-Power V2.5では撮像時間の短縮化のみならず、検査時間の短縮化にも着目した。撮像時にシステム調整用に必要としていたReceiver Gainなどのプリスキャンを削減しただけでなく、再構成時間も最大で約1/10まで削減した。また、新しいSARコントロールにより、1回の撮像で得られる枚数が増加し、1回の検査で広範囲をカバーすることが可能となり、検査時間を短縮できる。頭部ルーチン典型例においては、46%の時間短縮を実現している。
一方で、多くの撮像パラメータが存在することが、MRI検査が難しいと感じられる要因の1つとなっていた。M-PowerV2.5では、パラメータがシンプルかつ簡単に見えるように、重要度に応じて撮像パラメータの選択ボタンの大きさ変更とグルーピングを実施できるなど、より使いやすいインタフェースを実現した。そして、高度な撮像条件の組み合わせを実現するシーケンス制御のNSDEにより、フレキシブルなパラメータの変更が可能となり、装置性能を最大限に引き出すことができる。この他、2point DIXON法を用いた3D WFSや体内金属撮像時における位置ずれを補正するVATなど、さまざまな新しいアプリケーションも搭載され、フレキシブルな検査を実現している。