EMCのセキュリティ事業本部であるRSAは11月27、Ponemon Instituteとともに実施した消費者のオンラインセキュリティに対する最新の意識調査の結果を発表した。調査は、米国在住の1000人の消費者から回答を得たもの。

これによると、回答者の48%が毎週、オンラインショッピングを利用しており、オンラインバンキングやモバイル取引でのセキュリティには大きく期待しているのに対し、オンラインショッピングのセキュリティにはさほど期待していないという結果が出ている。

期待値が低いだけではなく、米国では約半数が1度の情報侵害を受けており、いつ侵害されたか特定する自信がないと回答する人もそのうち45%にのぼっている。しかし、回答者の45%は、情報漏えいが起こったとしてもクレジットカードやデビットカードの利用に影響することはないと回答。

こうした結果から、オンラインショッピングにはリスクがつきものだと理解しているにも関わらず、利用は増加し、消費者は、高リスクであっても利用を改めようとしない傾向が強いことがわかった。

RSA Anti-Fraud Command Centerによると、2014年前半の6か月間でモバイルチャネルを使用したバンキング取引は33%に上り、2013年から20%、2012年からは67%も上昇。モバイルチャネルを利用した詐欺は大幅に増加し、不正取引の4件のうち1件でモバイルチャネルが利用されていた。

Ponemonの調査対象となったすべてのオンラインチャネルの中で、モバイル決済のセキュリティへの期待は最上位を占めているが、回答者の77%はモバイルアプリケーションのセキュリティを信用できないと考え、ダウンロードするアプリケーションの同意書を常に読んでいるのはわずか35%という結果になっている。

脆弱な認証は多くの消費者に問題視されており、ログイン時にユーザー名しか求めないWebサイトに対して62%が不安を示している。しかし、回答者の71%が情報侵害の中でもパスワードの盗難を最大の懸念とする一方で、約3分の1がすべてのオンラインアカウントに対して1つか2つのパスワードを使い回している。

また、69%は複数のデバイスやサイトに同じパスワードを使用し、パスワードを定期的に変更している回答者はわずか54%。好ましい認証方法を尋ねると、回答者の大半がソフトウェアトークンや生体認証(音声や指紋による認証)がID管理の理想的な方法であると回答した。

RSAのマーケティング担当副社長 Brian Fitzgerald氏は「インターネットの機能や利便性の向上とともに、消費者のセキュリティに対する不安も増加。しかし、Ponemonの調査によると、消費者はセキュリティを最大の懸念にしながら、その考え方や行動を変えようとしない。強力で便利なセキュリティの手法を提供するという期待に応え、顧客によるインターネットの活用を促すと同時に、単純であろうと複雑であろうと、あらゆる脅威のリスクを大幅に低減することは業界の責任である」と述べている。