東京大学は11月25日、翼形、波形など特殊な断面形状を持つ蜂の巣様の構造(ハニカムコア)をオンデマンドで製造できる新しい製造方法を実証し、アルミ合金製パネルの試作に成功したと発表した。
同成果は、同大 生産技術研究所 機械・生体系部門の斉藤一哉助教によるもの。科学技術振興機構(JST)の研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)の支援を受けて行われた。
軽量で高強度、高剛性を実現できるハニカムコアサンドイッチパネルは航空機・宇宙機から建材、家具まで、さまざまな工業製品に使われている。現在、ハニカムコアは半世紀程前に英国で開発された展張式と呼ばれる手法で製造されているが、この方法では平板パネルしか作製できず、曲率を付けたり、テーパーを付けたりする際は、コストのかかる2次加工が必要となるため、使用できる形状に多くの制限があった。
そこで、斉藤一哉助教は"折紙式"という新しいハニカムコアの製造方法を実証した。これは1枚の紙から折り曲げのみで、さまざまな立体形状を作り出す折紙の手法を応用し、周期的なスリット・折線を入れた1枚のシートからハニカムコアを立体化する方法で、展開図のパターンを変えることにより平板だけでなくテーパー形や翼形、曲面パネルなどさまざまな形状のハニカムコアを直接製造できる利点がある。そして今回、この折紙式ハニカム製造装置のプロトタイプを城山工業、フジカケと共同で開発し、波形や曲率パネルなどさまざまな形状のアルミ合金製ハニカムコアの試作に成功したという。
今後、産業化がなされれば形状の異なるさまざまな製品で、安価な軽量化手段を提供することができるだけでなく、遮音・吸音、断熱性などハニカムコアの持つさまざまな優れた機能特性を広汎な製品で利用可能になるとコメントしている。