EV Group(EVG)は、酸化膜を介さず導電性を持たせた常温直接接合を可能にする高真空ウェハ接合装置「EVG580 ComBond」を発表した。
シリコン基板上に、異なる特性をもったIII-V化合物半導体材料を組み合わせて電子デバイスを製造すると、より高いキャリア移動度によりデバイス性能を向上させることができる。また、シリコンを通して発光させることによって、光インターコネクトとルータを同時に可能するなど、新しい機能を実現することができる。しかし、従来のエピタキシャル成長プロセスによって異なる特性をもったIII-V化合物半導体材料を組み合わせると、格子定数および熱膨張係数(CTE)の違いにより、結晶の転移欠陥を発生させ、デバイス性能を低下させることになる。
このため、各半導体材料をそれぞれ最適な成長基板上に成長させ、その後ウェハ接合により組み合わせることによって、製造上の課題を軽減している。特に、常温直接接合は、CTEミスマッチによりさらに熱応力が発生する高温アニール工程の必要性がなくなることがメリットとされている。しかし、常温直接接合の課題の1つとして、接合界面の厚みと均一性の厳密な制御が維持できないことがある。これには、パーティクル汚染と自然酸化膜の効果的な除去も含まれる。これらは、接合された材料間に、十分な接合強度と導電性を持たせるために必要不可欠となっている。
同装置は、これらの課題に対応することができる。具体的には、プラットフォームにシームレスに統合された専用のComBond活性化モジュール(CAM)により、ウェットケミカルエッチングの代わりに、エネルギー粒子を基板表面に照射することで、汚染および酸化膜のない接合界面を実現できる。また、高真空プロセス環境での動作および接合時に、前処理されたウェハの再酸化を防止する。この他、最大5つのモジュールで構成でき、R&DおよびHVMアプリケーションの両方をサポートする並列処理が可能なのに加え、8インチ(200mm)までのウェハサイズに対応するとしている。