ビッグデータ活用の基盤システムを構築するには、さまざまな業務アプリケーションやデータベースのデータをいかに"つなぐ”かが成否のカギを握ると言っても過言ではない。そうしたなか、Hadoopとの親和性の高さやJavaによるコネクタ開発の活発さなどから注目を集めているのが、米国Talendが提供するOSSのデータ統合ツール群である。そこで今回、同社CEOのマイク・トゥーケン氏の来日を機に、国内外の企業のビッグデータ活用において同社製品がどのように活用されているか、そして今後のビッグデータの潮流を踏まえた同社の戦略などについて話を聞いた。
--まず、御社のこれまでの実績や主な製品を簡単に紹介していただきたい。--
マイク氏: 当社は2006年にETLツール・ベンダーとして、2人のフランス人創業者の手により設立された。その製品は何百万もダウンロードされ続けている。設立から約7年半の間に急速に成長しており、手がける製品群もデータ統合やアプリケーション統合、マスターデータ管理ソリューションと多岐にわたっている。また、各ソリューションの対象も、当初は開発担当者が中心だったが、今ではユーザー企業のビジネス部門でも利用されており、そうした方々にも比較的容易に使えるようになっている。
ビッグデータに関しては、Hadoopの可能性を踏まえて2009年から大々的にHadoopに関わる開発への投資を行っており、これまでにHadoopと多様なデータの統合を行える環境を整えることに成功した。
--創業者がフランスのエンジニアである御社が、なぜ米国に本社機能を集約したのか?--
マイク氏: 以前は、フランスと米国カリフォルニアの2拠点での本社体制をとっていたが、世界でも有数の成功を収めている企業のほとんどがカリフォルニアを拠点としていることから、昨年、私がCEOに就任したのを機にカリフォルニアのオフィスに本社機能をすべて集約した。その結果、より多くのリーダーを1ヵ所に集めて、意思決定プロセスをさらに迅速かつ柔軟にすることが可能になった。
--御社のビッグデータソリューションの強みはどこにあると考えているか。--
マイク氏: まずは、何と言ってもOSSなのでコスト効率が高く、開発者のためのコミュニティも活発である点が挙げられる。企業にとってデータをきちんとつなげることができなければビッグデータに取り組む意味はない。そこでも、当社のOSSのバックグラウンドが優位性を発揮する。Talendにはコミュニティユーザーが5万人以上おり、利用者が自社のシステムを開発するうえでも大いに役立っている。また、800に及ぶコネクタもそろっているが、これだけの数はほかにはないと自負している。そうしたコネクタのほとんどがクラウドソリューションで提供されているのも特徴だ。
各コミュニティでは、メンバー相互に協力しながら答えを出すことができるので、コミュニティに参加することのメリットは極めて大きいと言える。当社としてもコミュニティの声には注意深く耳を傾けており、メンバーが抱えている課題にこたえるようなソリューションの提供に努めている。
加えて、ビジネスユーザーにもわかりやすい製品であることも大きな強みとなっている。例えば、マスターデータ管理を行ううえで作成することになる用語集や、データの品質を保つためのデータの確度の判断などでは必ずビジネスユーザーの参画が必要になる。そうした際に、ビジネスユーザーにとって理解不能な製品では、プロジェクトはそこで破綻してしまうだろう。数ヵ月後にはクラウド版の製品をリリースする予定だが、こちらもきっとビジネスユーザーにとっても魅力的なものとなるはずだ。