Microchip Technologyは11月20日、8ビットPICマイコンの新製品として周辺機能を充実させた少ピンの「PIC16(L)F161X」ファミリを発表した。
同ファミリは、独自のコアから独立した周辺モジュールのCIP(Core Independent Peripherals:CIP)を拡張して割り込みレイテンシと消費電力を低減し、システム効率と安全性を向上させるとともに、設計に要する工数を削減する。さらに、これらの周辺モジュールを使うとコードも外付け部品も追加しなくて済むため、システムを簡素化できる他、ハードウェアであるため、タイミングが重要な機能とコアの負担が大きい機能をCPU外で処理することができ、CPUを他の重要なタスクに使うことができる。
また、PIDによるMath Accelerator(Math ACC)を内蔵している。これはコアから完全に独立した計算能力を提供し、16ビットの算術およびPID演算を実行する。そして、同ファミリには角度タイマ(AngTmr)を内蔵する製品もある。AngTmrはモータ制御、トライアック制御、CDI(キャパシタディスチャージドイグニション)などにおける回転角度を計算するハードウェアモジュールである。AngTmrを使うと、回転数に関係なく、さらにコアの計算能力を使わずに特定の回転角度または正弦角度で割り込みを生成することができる。この他、CIPは、実行速度を高めながらソフトウェア要件を低減するといった各種機能を実行するように構成することができる。これらの機能をCPU外で実行することで、CPUが他のタスクを実行できるようになり、プログラムメモリ消費量を低減し、マイコン全体の電力消費を低減できるとしている。
これら以外にも、実装を容易にし各種機能の柔軟性をもたらす周辺モジュールを備えている。24ビット信号計測タイマ(SMT)は、ハードウェアでデジタル信号の高分解能計測を実行し、精密で正確な計測結果を生成するもので、速度制御、測距、回転計に最適である。加えて、ゼロクロス検出器(ZCD)モジュールも内蔵している。同モジュールはAC電源電圧を監視し、ゼロ電圧交差時期を出力する。この機能を使うとトライアック制御を簡素化でき、CPU負荷と部品コストを低減できる。さらに、大電流I/O(100mA)、構成可能なロジックセル(CLC)、通信のためのI2C、SPI、EUSARTと組み合わせることで、設計期間の短縮、実装の簡素化、柔軟な設計が可能である。
なお、パッケージは、「PIC12(L)F1612」が8ピンPDIP、SOIC、3mm角のDFN、UDFNで、現在サンプルおよび量産出荷中。「PIC16(L)F1613」が14ピンPDIP、SOIC、TSSOP、4mm角のUQFN、QFNで現在出荷中。「PIC16(L)F1614/5」が、14ピンPDIP、SOIC、TSSOP、4mm角のUQFN、QFN、「PIC16(L)F1618/9」が20ピンPDIP、SOIC、TSSOP、4mm角のUQFN、QFNで、現在サンプル出荷中で、1月から量産開始の予定。同ファミリ製品は1万個単位で提供される。