Mozillaは11月19日(米国時間)、2004年から続いたGoogleとの検索に関するグローバル規模の提携契約を延長せず、新たにYahooと米国における5年間の戦略的パートナーシップ契約を結んだことを発表した。
Firefoxでは現在、検索ボックスで利用できる検索サービスに、Google、Yahoo、Bing、DuckDuckGo、Wikipediaなどを選択できるが、インストールした状態ではGoogleが設定される。これは2004年にMozillaとGoogleが締結したパートナーシップ契約に基づいたものだ。2社は2011年11月に3年間の契約延長に合意しており、今月末に期限が迫っていたが、Mozillaはこの契約を再延長しなかった。
理由についてMozilla CEOのChris Beard氏は「検索パートナーシップに関して、選択と独立性を重んじるMozillaの戦略に沿うことを優先した」と述べている。
Mozillaは1社をグローバル規模のデフォルト検索プロバイダーとするのではなく、国・地域で最適な検索サービスプロバイダーの採用を進める戦略に転換する。米国では5年間のパートナーシップを結んだYahooのYahoo Searchがデフォルト検索オプションになり、引き続きGoogle、Bing、DuckDuckGo、eBay、Amazon、Twitter、Wikipediaも選択できるようにする。ロシアではYandexがデフォルトになり、Google、DuckDuckGo、OZON.ru、Price.ru、Mail.ru、Wikipediaなどにも切り換えられる。中国では百度をデフォルトにGoogle、Bing、有道、淘宝、他のローカル検索サービスなどを選べるようになる。Firefoxにプリインストールされる検索サービスは全体で61になる予定だ。Googleは検索オプションの1つとしてFirefoxにプリインストールされるほか、Firefoxのセーフブラウジングとジオロケーション機能に引き続きGoogleのサービスが用いられる。
検索パートナーシップ戦略の変更は、企業としてMozillaの将来に大きな影響を及ぼす可能性がある。これまでMozillaはGoogleとのパートナーシップによって命脈を保ってきた。2012年決算では連結売上高の98%が検索サービスプロバイダーからのロイヤルティ収入で、そのうちの90%をデフォルト検索オプションのGoogleが占めていた。柔軟に複数の検索パートナーと契約する新戦略で、従来の成長を維持できるかが注目される。