NECは11月19日、店舗内や工場内において、既設のカメラを活用し、高精度に人の動き(動線)を把握できる人物動線抽出技術を開発したと発表した。

同技術は、複数の既設カメラで撮影したデータを連携活用することで、高精度かつ初期投資を抑えながら動線把握を可能にする。また、服の色の特徴を用いて動線を把握するため、個人を特定せずに動線データの取得・解析を実現する。これにより、店舗における顧客の高度な購買行動分析(マーケティング)や、工場・倉庫内での作業手順の改善などが実現するという。

具体的には、複数カメラの各映像を処理する解析プログラムの結果を、独自方式を用いてサーバでリアルタイムに統合する。そして、あるタイミングで統合したデータを各カメラの処理プログラムと共有し、次のタイミングの解析処理に活用することで、店舗・倉庫・工場内の広範囲かつリアルタイムな状況把握を実現するという。例えば、人物同士が映像中で重なり合って見える状況など、1つのカメラでは解析が難しい場合も、別のカメラの解析結果を反映することで、精度よく解析できる。また、従来は全カメラの処理結果を収集後にサーバでデータ統合を行っていたため、データ解析に遅延が発生していたが、同技術は各カメラからのデータを収集しながら、逐次データの共有が可能になることから、リアルタイムな動作を実現している。さらに、人物があるカメラの死角に入った場合でも、別の角度から撮影をしているカメラとリアルタイムにデータ連携することで、動線を把握したい人物を見失わず、高精度に把握できる。

加えて、姿勢・照明条件によって細かく変動する服装の色を機械学習し、モデル化した独自の服色特徴モデルを開発した。服の色の特徴を用いての動線把握を可能にすることで、動線を把握したい人物が、設置場所から離れた別のカメラに映った場合でも、個人を特定することなく、途切れのない、正確な動線把握が実現するという。

この他、既設カメラで認識可能な範囲をCGなどを用いて推定・可視化し、カメラの追加や適正な配置の判断を支援する、カメラ配置設計ツールを合わせて開発した。これにより、既設カメラだけでは不十分な場合でも、最小限のカメラ台数の追加で高精度な人物動線抽出を実現できるとしている。