Imagination Technologies(IMG)は11月18日、16~512コアのスケーリングが可能なALU(算術論理演算)を持つPowerVR Rogue GPUアーキテクチャ(Rogue7)の最新世代である「PowerVR Series7XT/XE」を発表した。
「Series7XT/Series7XE」は、ウェアラブル機器、IoT、自動車、モバイル、デジタル家電やハイパフォーマンスGPUコンピューティングに至る、幅広い次世代製品に対応できるように設計されている。また、柔軟な構成が可能であり、さまざまな市場要求に対応し、完全なハードウェア仮想化や、ハードウェアテッセレーション機能を備えたAndroid Extension Pack(AEP)対応などの新機能に加え、ジオメトリシェーダ、帯域幅と電力を低減するPVR3Cトリプル圧縮技術、ASTC(Adaptive Scalable Texture Compression)の完全サポートなどの、実績ある機能も実装している。さらに、同社の先進的なPowerGearing技術が搭載されており、コアレベル、クラスタレベルでの動的な電力管理を実現している。
そして、前世代の「PowerVR Series6XT/6XE」の同等構成と比較して、最新業界標準ベンチマークで最大60%と大幅にパフォーマンスを向上させている他、並列処理能力を、グラフィックスとGPUコンピューティングの両方のタスクに活用できる。また、「Series7」のアーキテクチャ上の改善点として、新たに追加されたco-issue(同時発行)機能を含む命令セットの強化において、アプリケーションパフォーマンスとGPU効率が向上していること。新しい階層レイアウト構造により、クロック周波数の高速化に加え、スケーラブルなポリゴンスループットとピクセルフィルレートの向上を実現していること。GPUコンピューティングの設定とキャッシュスループットの向上により、並列処理パフォーマンスが最大で300%向上していることなどが挙げられるとしている。
「Series7」のうち、「PowerVR Series7XT」は、次世代ユーザーインタフェース、3Dゲーム、GPUコンピューティング向けに高いパフォーマンスとユーザ体感を実現する他、スマートフォンやタブレット、UltraHD TVとセットトップボックス、ゲーム機、ハイパフォーマンスのサーバコンピューティングなどのミッドレンジからハイエンドのアプリケーションをターゲットとしている。AEPと10ビットYUVを標準でサポートする他、2~16クラスタベースで、各クラスタには32個のマルチスレッド-マルチタスクALUコアを搭載し、ハイエンド構成ではTFLOPSレベルのパフォーマンスを達成できる。GPUには2クラスタの「GT7200」、4クラスタの「GT7400」、6クラスタの「GT7600」、8クラスタの「GT7800」、16クラスタの「GT7900」があり、その他の構成も利用できる。
「PowerVR Series7XE」は、最大32個のマルチスレッド-マルチタスクALUコアを持つ単一のスケーラブルなクラスタをベースとし、最新のゲームとアプリを、エントリーレベルからミッドレンジのモバイルデバイス、テレビ、セットトップボックス、ウェアラブル機器など電力やコストに制約のあるデバイス上で実現するとともに、コピー機やプリンタ、コンシューマ向けや企業向けデバイスなど、価格競争力と高品位のUIの要求が高まる幅広い製品にも対応する。AEP互換GPUとして最小であるにもかかわらず、ハイパフォーマンスの「Series7XT」ファミリと同様に、HEVC向け10ビットYUVサポートなどのオプション構成もできるため、エントリーレベルのUltraHD TVなどのアプリケーションにも理想的である。GPUには、16コアの「GE7400」と32コアの「GE7800」がある。
なお、「PowerVR Series7XE/7XT」のライセンスはすでに開始されており、複数のリードライセンスパートナーと商談を進められているという。また、「PowerVR Series7XT/XE」向けに、電力、パフォーマンス、面積を最適化するための柔軟性を提供するPhysical Design Optimization Kit(DOK)も利用可能になる。DOKは最適化されたリファレンスデザインフロー、パートナー提供のチューニング済みライブラリ、特性データ、ドキュメント類で構成されている。