理化学研究所(理研)は11月14日、STAP細胞問題の舞台となった発生・再生科学総合センター(神戸市中央区)を11月 21日付で多細胞システム形成研究センターに再編すると発表した。STAP細胞研究の中心になった小保方晴子(おぼかた はるこ)氏は研究ユニットリーダーから、理研本部の検証実験チームの研究員となり、11月末まで独自の検証実験を続ける。竹市雅俊(たけいち まさとし)センター長は退任して特別顧問になる。

8月に策定した研究不正防止アクションプランに基づく改革で、新センターの名称には「さまざまな細胞が集まり、各種器官を形成するシステムの解明を進め、再生医療などの実現を目指す」という目的を込めた。新センター長は2015年3月までに公募で決める。それまでは柳田敏雄(やなぎだ としお)理研生命システム研究センター長が職務を代行する。

この再編で40ある研究室を半減し、職員も減らすが、高橋政代(たかはし まさよ)プロジェクトリーダーが進めているiPS細胞による世界初の臨床研究は、網膜再生医療研究開発プロジェクトとして引き続き推進する。減らした職員は大部分、理研のほかの研究センターに移管する。野依良治(のより りょうじ)理研理事長は「発生再生科学分野の研究開発をより強力に推進する。科学的基礎・応用のバランスを考慮しつつ、最大の成果が得られるように努める」とのコメントを出した。

理研発生・再生科学総合センターは2000年に神戸市のポートアイランドに設立され、細胞接着因子カドヘリンの発見で著名な竹市雅俊京都大学名誉教授が2002年からセンター長を務めていた。発生学の世界的な拠点となっていたが、研究不正が認定されたSTAP細胞問題を機に、ひとつの歴史を終えた。

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