ラトビアに本社を持つZabbix SIA社が開発・リリースしている監視ソリューション「Zabbix」は、フルオープンソースでありながら、しっかりとしたサポート体制を整えていることで高い人気を誇っている。そのユーザーやパートナー企業がZabbixの情報を共有するために集まるイベントがZabbixカンファレンスだ。本国ラトビアでは、9月に4回目のカンファレンスが盛況のうちに終了した。東京での開催は、2014年11月21日で、昨年に続き2回目となる。Zabbix Japan代表の寺島 広大氏に、この1年のZabbix事情と、今回のカンファレンスの見所を聞いた。
国内でのZabbix需要の高まりと、その理由
寺島氏によれば、昨年のカンファレンス時に発表したハードウェア・アプライアンス「ZS-5220」とプロキシサーバー「ZP-1220」は、出荷台数が右肩上がりとのことで、当時22社だった国内のパートナー企業も、30社へと増えている。現在、Zabbix社のパートナー企業は世界全体で80社ということを考えると、日本でのZabbix人気の高さが分かる。
この人気は、Zabbixが日本語に対応していることやZabbix Japanを通じて日本語でサポートを受けられることによるところが大きい。また2005年、寺島氏が他社のSE時代に個人的に立ち上げたZabbixコミュニティサイト(日本語)も、まだ現役でその約割を果たし続けている。日本語による技術情報が豊富で、しかも無料で利用できるということが、日本の技術者にZabbixの使用を促す地盤を築いているのだ。もちろんそこでの評価が高かったからこそ、現在の需要が生まれている。
さらに日本は、ユーザーやパートナーが東京のような都市部に集中しているため、Zabbix Japanのスタッフが直接出向いて話をする機会をつくりやすく、より具体的なニーズや、ユーザーが直面している課題を吸い上げやすい。
「こうした状況は本社でも把握していて、日本には特に高い期待感を持っており。当社が日本ユーザーの要望を本社に送ると、対応が速く、今年リリースされた『Zabbix 2.4』では、日本企業からのニーズで加えられた修正点が多くありました。主にユーザビリティに関する修正なのですが、使っている人にとっては、『かゆいところに手が届いた』と感じていただけていると思います」(寺島氏)
国内での活用事例紹介のほか、新製品・サービスの発表も
前回のカンファレンスでは、エンジニアがZabbixに関連する技術を取り上げるセッションが中心だったが、この1年でZabbixの導入件数は大幅に増え、Zabbix Japanと国内ユーザー、パートナーとのつながりも深まった。その結果、今回のセッションには実際のユーザーによる導入事例紹介が盛り込まれ、具体的な活用方法が見える内容になっているとのこと。大規模な仮想基盤の監視事例、公共・自治体での活用のほか、広域デジタルサイネージの遠隔監視に活用している事例のように、ネットワークやシステムの監視以外にZabbixを役立てているという、興味深い活用例も展開される。
当日は、Zabbix SIAの創設者でありCEOをつとめるAlexei Vladishev氏から、今後の取り組み、開発の方向性について語られるほか、寺島氏からは日本市場向けの新製品・新サービスの紹介も予定されている。残念ながら今年のカンファレンスは既に定員に達し、参加申し込みは締め切られているが、この記事を読んでZabbixについて関心を持たれたという方は、ぜひZabbix Japanのサイトを訪問してみてほしい。定期的に無料のwebセミナーを開催し、Zabbixの紹介のほか、Zabbix社によって提供されているサービス、日本国内のパートナー企業などについての情報も提供している。
なお12月初旬頃には、カンファレンスの模様を抜粋してお届けする予定なので、そちらもご覧いただきたい。